貯蓄・投資[67]

【確定申告】人に関する控除のうち 申告する者以外の者に関する控除

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執筆者:門衛 家計運営チーム

確定申告の際に利用する控除の種類について

確定申告により最終的に納税する金額は、申告の対象となる年中に受けた総収入額から、各種の控除額を差し引き、所得金額を算定します。そして、算定した所得金額に、その所得金額の大きさにより定められて各種の税率を乗じて、最終的に納税する税額を決定します。
 
納税額の計算の際に、総収入から差し引く控除には、大きく分けて、人に関する控除と、申告の対象となる年中に支出した費用や受けた損失に関する控除の2種類があります。
 
このうち、人に関する控除には、①基礎控除②申告する者に関わる控除と③申告する者以外の者に関わる控除、の3種類があります。以下では、この人に関わる控除のうち、③の申告する者以外の者に関わる控除について考えてみます。
 

配偶者控除について

申告する者以外の者に関わる人的控除の代表は配偶者控除です。ただし、申告する者に配偶者がいれば、即座にこの控除が利用できるわけではありません。この配偶者控除が利用できるためには、申告の対象となる年の配偶者の年間所得が38万円以下でなくてはなりません。
 
ちなみに、申告の対象となる年の年間所得が38万円以下の配偶者のことを控除対象配偶者と言います。この控除対象配偶者には、2種類あります。それは、一般の控除対象配偶者と、控除対象配偶者の中で、申告の対象となる年の11日から1231日までの間に70歳に達した者が該当する老年控除対象配偶者です。
 
配偶者控除の金額は、一般の配偶者控除については、基礎控除と同じ38万円です。老年控除対象配偶者に該当する場合の配偶者控除の金額は48万円です。配偶者控除は、所得の少ない配偶者を養う者の税負担を軽減するために設けられています。
 

配偶者特別控除について

申告を行う者に、所得が38万円を超える配偶者がいる場合には、配偶者控除は適用されません。しかし、配偶者の所得が38万を超え、76万円未満の場合には、申告する者が、配偶者特別控除を受けることができます。
 
この配偶者特別控除の金額は、配偶者の所得に応じて38万円~3万円までの9段階の金額となります。配偶者の所得が多いほど、配偶者特別控除の金額が小さくなっていきます。
 
なお、この配偶者特別控除は、申告をする者の申告対象年の所得が1,000万円を超える場合や、配偶者が配偶者控除を受ける場合には、利用することができませんので注意が必要です。
 

扶養控除について

人的控除のうち、申告する者以外に関わる控除の最後は、扶養控除です。扶養控除とは、申告をする者に控除対象扶養親族がいる場合に利用できます。控除対象扶養親族とは、申告をする者と生計の資を共にする配偶者以外の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)で、申告対象年の所得が38万円以下の者が該当します。
 
なお、平成22年度の税制改正で、16歳未満の年少者は控除対象扶養親族から外されました。ですから、控除対象扶養親族になることができるのは、現在では、確定申告の対象となる年の11日から1231日までの間に16歳以上となるものに限定されています。
 
この控除対象扶養親族は、4種類あります。それは①一般の控除対象扶養親族②特定扶養親族③同居老親等老人扶養親族④同居老親等以外老人扶養親族、です。まず①の一般の控除対象扶養親族とは、申告対象年中に16歳以上となる扶養親族で、②③④に該当しないものが該当します。
 
②の特定扶養親族とは、申告の対象となる年に16歳から22歳になった控除対象扶養親族が該当します。申告をする者に高校生から大学生の子供さんがいる場合が該当します。
 
③の同居老親等扶養親族とは、申告対象年中に70歳になる控除対象扶養親族がおり、それが同居している両親である場合に該当します。申告をする者が、70歳以上になる両親と同居して世話をしている場合などが該当します。
 
④の同居老親等以外老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち確定申告の対象となる年に70歳以上となり、かつ、申告をする者と同居していて、申告をする者に世話をされている申告する者の両親以外の親族などが該当します。
 
これらの扶養控除の金額は、一般の控除対象配偶者がいる場合の扶養控除は38万円、特定扶養親族がいる場合の扶養控除は63万円、同居老親等老親扶養親族がいる場合の扶養控除の金額は58万円、同居老親等以外の老親扶養親族がいる場合の扶養控除額は48万円となっています。

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