最終的な納税額は何段階もの控除を経て定まる
確定申告により最終的に納税される金額は、申告をする者の申告対象年の収入から何段階もの控除を差し引いて定まります。ここでは、所得が1種類のみであるかたを例にとり、最終的に納税すべき税額が定まる仕組みを説明してゆきます。
特に控除に関しては、所得から差し引かれるものと、所得税額から差し引かれるものと、所得税及び復興特別所得税の額から差し引かれるものと3種類があります。しかし、どれも控除という名称がついていますので、注意して見分けなくてはなりません。
最終的な納税額が定まるまでの流れ
まず、所得が1種類の方の場合、申告対象年度に得た収入のすべてを合算し、収入金額を求めます。そして、収入金額から、収入から差し引かれる金額を計算します。収入から差し引かれる金額とは、事業所得の場合には必要経費、一時所得の場合には、支払った保険金や掛金が該当します。
収入金額から、収入から差し引かれる金額を差し引くと、所得金額がでます。今度は、この所得金額から、所得金額から差し引かれる金額を計算します。この所得金額から差し引かれる金額のことを所得控除といいます。
この所得控除には、基礎控除、扶養控除、配偶者(特別)控除、障害者控除、勤労学生控除、寡婦・寡夫控除、寄付金控除、地震保険料控除、生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、社会保険料控除、医療費控除、雑損控除の14種類があります。
さて、所得額から所得から差し引かれる金額(所得控除)を差し引くと、課税される所得金額がでます。この課税される所得金額に所得税の税率を乗じ、所得税額を出します。この所得税率には、課税される所得金額により5%~40%まで6段階に区分されます。
課税される所得金額に所得税率を乗じて所得税額をだすと、今度は、この所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引きます。すると、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の所得税額(基準所得税額といいます。)がでます。
なお、この所得税額から差し引かれる金額には、配当控除、住宅借入金等特別控除、政党等寄付金特別控除、認定NPO法人等寄付金特別控除、公益社団法人等寄付金特別控除、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅新築等特別税額控除などがあります。
さて、基準所得税額に2.1%を乗じて復興特別所得税額を求めます。なお、復興特別所得税とは、被害日本大震災の復興財源として、平成25年から平成49年までに特別に課される所得税のことです。
最後に、基準所得税額と復興特別所得税額を足した金額から、所得税及び復興特別所得税から差し引かれる金額を差し引きます。この所得税及び復興特別所得税から差し引かれる金額には、外国税控除額と、すでに源泉徴収された所得税及び復興特別所得税の金額があります。
この基準所得税額と復興特別所得税を合わせた金額から、所得税及び復興特別所得税から差し引かれる金額を差し引くと、所得税及び復興特別所得税の申告納税額が定まります。最終的に税務署に納める税金の額は、この所得税及び復興特別所得税の申告納税額となります。
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2024/11/20 更新