確定申告の仕組みは複雑です。そこで、話を分かりやすくするために、ある自営業者が確定申告を行った場合を想定して、実際に確定申告で行われる納付税額の計算例を以下で示していきます。
まず、中古自動車販売業のAさんを想定します。この方は、平成○○年の1年間で、中古車の販売などで500万円の収入があるとします。この方が確定申告を行い、納付すべき税額を求めるとします。
その場合、まず、総収入額の500万円から、必要経費を差し引きます。必要経費とは、中古自動車の仕入れにかかった費用、店舗の水道光熱費、営業のための交通費、公告のためのチラシの製作費などが該当します。
ちなみに、これらの必要経費の総額が200万円だったとします。そうすると、まず総収入額500万円から必要経費の200万円を差し引いて、所得金額300万円が算出されます。
次に、Aさんには、専業主婦の配偶者と、75歳で同居かつ扶養している母親(年間所得38万円未満)がいるとします。また、平成○○年中に、自分と妻の国民年金保険料30万円、国民健康保険料を10万円を支払ったとします。
Aさんの所得から差し引かれる金額(所得控除)は、配偶者控除が38万円、同居老親等老人扶養控除58万円、社会保険料控除が30万円+10万円=40万の合計で136万円となります。この所得控除を、所得金額から差し引くと、課税される所得金額がでます。この金額は、300万円-136万円で164万円です。
この164万円に税率を乗じると、所得税額が求まります。課税される所得金額が1千円以上195万円未満の者の所得税率は5%ですから、この場合の所得税額は82,000円となります。
さて、Aさんが平成○○年中に、ある政治家の政治資金団体に10,000円の寄付をしたとします。すると、この10,000円が、所得税額から差し引かれる金額(政党等寄付金特別控除)として、所得税額から差し引かれます。
なお、所得税額から所得税額から差し引かれる金額を差し引いた金額を基準所得税額といいます。この場合には、基準所得税額は82,000円から10,000円を差し引いて72,000円となります。
さて、この基準所得税額に2.1%乗じると復興特別所得税額が決まります。この例では、72,000円×2.1%=1,512円が復興特別所得税額となります。なお、基準所得税額と復興特別所得税を合わせた金額は、72,000円+1,512円で、73,512円となります。
さて、Aさんは、平成○○年中にアメリカに一時滞在し、アメリカ国の所得税(日本円に換算して8,000円とします。)を支払っていたとします。すると、Aさんは、確定申告の際に、8,000円の外国税額控除を受けることができます。
外国税額控除は、所得税及び復興特別所得税から差し引かれる金額に該当します。そして、所得税及び復興特別所得税の金額から、所得税及び復興特別所得税から差し引かれる金額を差し引くと、所得税及び復興特別所得税の申告納税額が算定されます。そして、この申告納税額が最終的に税務署に支払う金額となります。
Aさんの例で言いますと、申告納税額は、73,512円から外国税額控除の8,000円を差し引いた金額となります。従って、65,512円が最終的に定まる税務署に納めるべき金額になります。
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