確定申告をしない場合には加算税が課せられる
収入があるにもかかわらず確定申告を怠った場合には、本来の税率に加えて5%~15%の無申告加算税が課されます。確定申告の期限終了後、税務調査を受ける前に、自主的に申告した場合の加算税は5%です。税務調査を受けて無申告が発覚した場合など、期限後に非自発的に申告した場合の加算税は15%となります。
例えば、収入から各種の控除を差し引いた金額が150万円の方は、確定申告の期限内に申告していれば、所得税額は75,000円となります。この方が、確定申告の期限内に申告せず、正当な理由なく期限後に自主的に申告した場合には、5%の加算税が加算されるため、所得税額は150,000円となります。
さらに、この方が、確定申告の期限が経過しても申告をせず、税務署から納税の指導が入ってから申告をした場合には、所得税額は300,000円となります。確定申告の期限内に申告をしないと、支払うべき税率が2倍から3倍になります。十分な注意が必要です。
その年の収入がない場合でも確定申告は必要
ところで、その年の収入がない方や収入があってもその収入が所得税や住民税の非課税限度額内の方の場合には、確定申告をしなくても無申告加算税を徴収されることはありません。ですから、余計にお金を支払わなければならなくなるということはありません。
しかし、確定申告の期限内に申告をしておかないと、「無申告」扱いとなります。この「無申告」扱いになると、国民健康保険税や国民年金保険料の減免手続や免除手続きを受けたくても、市町村役場が所得証明書を発行してくれないために、それが不可能になります。
また、配偶者等の扶養者が加入している健康保険の被扶養者になりたくても、所得証明書の発行ができないために、扶養者になることができなくなります。収入がない場合に、健康保険の扶養者になれなかったり、国保税の減免手続を受けることができない場合には、非常に困ります。
さらに、金融機関から融資を受ける際や、学校の授業料の免除申請の際に必要となる所得に関する証明書の発行ができません。この場合にも、大変な苦労をすることになります。
各種の手続きに関して、市町村役場が発行する所得に関する証明書の発行を求める場合は非常に多いので、「未申告」によって所得に関する証明書の発行ができないということになると、日常生活を営む上で、大きな障害となります。
納税に関して恵まれているサラリーマン
ところで、会社に勤めているサラリーマンの場合には、確定申告は一部の例外を除いてする必要はありません。会社に勤めている方の場合には、所得税は給料からの天引きという方法で徴収され、納税は本人に代り会社が行ってくれます。
税に関する手続きを会社が代って行ってくれるために、確定申告をしなくても、市町村役場が所得に関する証明書を発行してくれなくなるような事態は起こりません。また、納税を忘れて無申告加算税を申告されるような事態も起こり得ません。
会社が納税手続きのほとんどを代行してくれるサラリーマンの場合には、納税に関するトラブルに巻き込まれる可能性が非常に低くなり、その意味では、申告義務が課されている自営業者などに比べて、恵まれているといえましょう。
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2024/11/20 更新