貯蓄・投資[67]

【確定申告】基礎控除と申告者本人に関わる人的控除について

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執筆者:門衛 家計運営チーム

申告税額の算定方法について

確定申告の際には、申告の対象となる年に獲得した総収入から各種の控除額を差し引いて、課税される所得金額を算出します。そして、その算出した所得金額に最少で5%を乗じた金額、最大で40%を乗じ、その金額から2,796,000円を差し引いて、最終的に納付する税額を決定します。
 
ここで、総収入から差し引く控除には、様々な控除があります。その中でも主体となるのは、人に関する控除、すなわち、基礎控除と障害者控除や各種の扶養控除を合わせた人的控除です。以下では、基礎控除と、人的控除のなかで、申告者本人に関する控除について考えてみます。
 

基礎控除について

まず、基礎控除について述べます。基礎控除とは人に関する控除の代表です。この控除は、所得や様々な条件の相違に関係なく、全ての人が受けることができる控除です。この金額は38万円です。年間所得が38万円以下の者が扶養控除対象者となりますが、この38万円はこの基礎控除の金額に由来します。
 
なお、パートやアルバイトの方の非課税限度額は103万円で、65歳未満の年金受給者の非課税枠が108万円で、65歳以上の年金受給者の非課税枠が158万円です。これらの金額には、すべて基礎控除が絡んでいます。
 
即ち、給与所得控除が65万、公的年金に関する雑所得の控除額が65歳未満70万、65歳以上120万円です。これらに基礎控除の38万円を足せば、それぞれの所得額の非課税限度額が導かれます。基礎控除の38万はあらゆるところで利用されます。是非とも覚えておきたい数字の一つです。
 

障害者控除について

次に、本人に関わる人的控除について考えます。この控除には、本人が障害者である場合に受けることができる障害者控除と、夫(又は妻)と離婚や死別をした者が受けることができる寡婦控除などがあります。
 
まず、最初に障害者控除について説明します。障害者控除は、申告する者が、税法で定める一定の障害に該当する場合に、受けることができる控除のことです。障害者の税負担を軽減するために設けられています。
 
この障害者控除には1級と2級があります。1級は精神保健指定医などから重度の知的障害者と判定された人、1級の精神障害福祉手帳を交付されている者、1級又は2級の身体障害者手帳を交付されている者、成年被後見人等が該当します。
 
障害者控除の2級に該当する人は、精神保健指定医などから中度又は軽度の知的障害者と判定された人、精神障害福祉手帳(1級以外)の交付を受けている人、身体障害者手帳(1級又は2級以外)の交付を受けている人等が該当します。控除額は1級が42万円、2級が27万円です。
 

寡婦控除、特別寡婦控除、寡夫控除について

また、一般の寡婦控除、特別寡婦控除、寡夫控除も、本人に関する人的控除に該当します。一般の寡婦とは、夫と死別又は離婚した後に婚姻していない人で、扶養親族や一緒に暮らしている年間所得38万円未満で他人の扶養親族等になっていない子を有する者が該当します。
 
特別寡婦とは、申告者本人が、一般の寡婦控除の対象となる場合で、その寡婦に、一緒に暮らしている年間所得38万円以下で他人の扶養親族等となっていない子があり、かつ、年間の所得額が500万円以下の者が該当します。
 
寡夫とは、妻と死別又は離婚した後に婚姻していない人で、扶養親族や一緒に暮らしている年間所得38万円未満で他人の扶養親族等になっていない子を有し、かつ、所得金額が500万円以下の者が該当します。
 
一般の寡婦、特別寡婦、寡夫に該当した場合には、それぞれ、寡婦控除、特別寡婦控除、寡夫控除を受けることができます。その金額は、寡婦控除が27万円、特別寡婦控除が36万円、寡夫控除が27万円となっています。
 

扶養親族について

なお、ここまで扶養親族という言葉が繰り返し出てきました。この扶養親族とは、申告者本人と、日常生活の資を共にする者で、配偶者以外の親族(6親等以内の血族又は3親等以内の姻族)で、年間の所得額が38万円以下の者が該当します。
 
このうち、控除対象扶養親族とは、扶養親族の内、申告の対象となる年中に16歳以上の者が該当します。なお、かつては16歳未満の子供も控除対象扶養親族とされておりましたが、平成22年度の税制改正により、子ども手当の導入と引き換えに廃止されました。

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