自分の経歴を明かすようで、個人情報が怖いところですし、やや恥ずかしいのですが、前置きとして必要な部分なので書きます。
僕は、かなり突っぱねられて育ちました。
中学校以降、保護者にお金は出してもらっていません。高校は、成績別の奨学金とアルバイト(公立高校でしたので、特待生制度はありませんでした)。大学は、最上級ではないですが特待生。
それと、アルバイトで通いました。高校のアルバイト禁止って、あれ、申し出て相談すれば許可になるんですよね。禁止という免罪符で小遣いをもらって生きている同級生に、やや羨望の視線を送りながら働いていました。
わが家の方針は「義務教育は払う」というものでしたから、義務教育が終わる高校からは自腹、という考えになるのです。もちろん、塾、予備校ともに通ったことはございません。通うなら自腹と言われましたので、無理でした(笑)。
大学で、同じ境遇だった友人が2人できました。彼らも高校からはひたすらアルバイトをしていて、学業も、アルバイトも、遊ぶのも手抜きはしませんでした。
それでも、大学生で月額20万~30万円の稼ぎは確保していました(ホストとかキャバ嬢とかはしていませんが……。華やかなメンツではなかったので)。それも学費に消えるわけですが、自分で払っているからこそ、無駄にはできないという意思がありました。
この前置きを元にお話するなら……。
「子供は案外タフである」、と保護者の方々はご理解いただきたい。 子供が苦労しないように、勉強はしっかりさせたい……のは、わかるんです。でもね、子供をもっとも駄目にしているのは、その過保護さなんです。
「いざとなったら親がなんとかしてくれる」 「どうにもならなくなったらなんとかしてもらえる」 ……。
そう思って、難問にぶつかって口を開けているだけの子が、なんと多いことか! 自分で考える癖なんか、つく余裕がありません。考えている間に指示が飛ぶので、考えずとも動けるわけです。最終的に頼れるなら、本気でやらなくても大丈夫、という甘えが、子供たちの根底に生まれてしまいます。
だから、何事も本気でやるということがなくなってしまうのです。
「決めてほしい」 「どっちが良いか教えてほしい」 ……。
こんな言葉もよく聞きますが、自分で選ぶ能力の欠如といえます。そして、指示通りやって失敗したら悪態をつけばいいのです。自分で選んで失敗したら自分のせいですが、そうなりたくないのでしょう。責任から逃れるといえば、まさにその通りです。
現場で一番多いのは、「暗記の効果的な方法を知りたい」というもの。いや、書くしかないでしょ?と思うのですが、子供たちはどうも「これをやったら点数が飛躍的に上がる魔法のアイテム」が存在して、それを先生や大人が持っていて、それをくれれば良いのだ……と思っているふしがあります。 そんな子供たちが大人になったとき、一番苦労するのは「指示されないとできない」こと。社会人にもなって、1から10まで指示されて……って、本人も周囲も辛いことでしょう。だって、身体だけ大きいけれど一人前扱いはされませんから。 子供の頃、「子供が苦労しないように」と一生懸命してきたことが、逆に子供を苦しめることになるのです。最近では、会社に保護者が「仕事が多すぎる」とクレームを入れる時代だとも聞きますし、僕の考えは古いのかもしれませんが。 社会に出ていて、「高学歴だけど使えない……」という人に必ず出くわします。彼ら自身は純朴で、真面目で、とても良い人たちです。けれど、彼らに決定的に欠けているのは、自分で考えるという力。自分で選ぶ勇気です。
保護者の方は、いま一度お考えください。 いま、目先の苦労を取り除いてあげるのが良いか。 大人になった時に、自分で行動できるようにしてあげるのが良いか。
……もっとも、我が家の両親に聞くと、そんなことを考えて無理難題を押し付けたわけではなく、「自分が遊びに行くのに親は金を出さない。それと同じ」だそうですが……。 たくましい子に育ってほしい保護者の皆様、ぜひご一考くださいね。
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2024/11/23 更新