はじめまして。私は現役で教育に携わっています。暗記方法や学校選びなどの、いわゆる実務面に関してはほかの大先生にお任せするとして、僕は実際に相談を受けることが多い問題をまとめていこうと思います。
第一回の今回は「うちの子、なぜ時間の使い方が下手なの!?」です。言い換えれば、「なぜ先のことを見通せないの!?」「なぜ、効率的に時間を使えないの!?」となるでしょうか。
1.子供のものさし、大人のものさし
「勉強しなさい!」と思わず保護者の方は言ってしまいがちですが、中学生以上の子供は案外忙しいものです。
大人に置き換えれば、くたくたになって帰ってきたのに、もっと仕事をしろと言われているようなものでしょう。もっとも、現場で子供たちを見ていて「もっと工夫すればいいのになぁ」と思うことは多々あります。
たとえば、定期テストが近い時の時間の過ごし方。暗記に没頭する真面目な子の傍ら、バカ騒ぎをする生徒の図。なんとなく、想像がつくのではないでしょうか。
保護者の方から見れば、そのバカ騒ぎをしている時間に勉強をしてほしいわけです。そこで、「勉強しなさい!」となるのですね。
大人は、成長する過程で遠く先を見通す力を得ます。これは、成長過程でさまざまな「期日のあるもの」をクリアしてきたことで醸成された力といえます。
たとえば中学入試・高校入試・大学入試。これらは数年間にわたる計画を立ててクリアしていくものですし、行き当たりばったりで結果が出るものではありません。失敗を繰り返し、改善し、挑戦していくことで、大人は「先を見通す力」を身につけていきます。
勉強に置き換えれば、ミス、見直し、再度確認です。その経験が足りていないのですから、子供が見通す能力を持っていなくても当然です。保護者の皆様は、もとい大人は、そこをはき違えて「大人のものさし」を子供に押し付けてしまいがちです。
小学生は、明日のことでだいたい精いっぱいです。つまり、ものさしが短いわけです。中学生くらいなら一か月先、高校生なら頑張って一年程度でしょう。成長に応じて少しずつ長くなっていくものです。中には、年齢に似つかわしくないほど先を見ている生徒もいます。
それはだいたい、上にお兄さんやお姉さんがいて、身近に経験している人がいる場合です。間接的に経験しているから立ち回りが上手なだけといえて、ほかのことに応用が効かない……なんてこともあります。
人生の経験値がまったく異なるのに、大人や兄姉がいる子供と同じ指標でものを見てしまっては、正直かわいそうでしょう。
2.空白の時間を見つけよ!
では、どうすれば時間の使い方が上手になるでしょう?
僕の指導しているクラスでは、学年が始まるタイミングで、一週間の時間の使い道を書き出してもらっています。だいたいで構いませんが、何時に起きて、何時まで学校にいて、塾はこの時間で……といったものです。
すると案外、「空白の時間」が登場するのです。何に使っていたかわからない時間を、僕は「空白の時間」と読んでいます。思い出せる範囲でいいからと前置きをして「その時間を何に使っていたのか」と聞いてみると、なかなか面白い答えが返ってきます。
たとえば、「水を飲む時間(そんなに長時間飲まないだろ、と思うのですが(笑))」、「ぼーっとしていた時間」「天井を見ていた時間」……。これは、どんな生徒でも同じです。空白の時間がない子は、なかなかいません。
時間の見直しが終わったら、今度は「空白の時間」を埋めることを意識させていきます。その時間で何ができたか考えてみるように話しています。すると、あれもできた、これもできた、と後悔の声が多数になります。
しかし後悔してからが、子供の本領発揮です。何度言い聞かせてもだめだったことでも、失敗と後悔をしてからはぱたっと同じ失敗をしなくなった、なんてことは、子育てをしていたら何度も出くわすことでしょう。子供は失敗してから大きく学びます。
3.まとめ
子供に接しているとどうしても言ってしまう「勉強しなさい!」ですが、子供たちは子供たちなりに頑張るつもりはある。しかし、どうしたらいいのかわかっていないわけです。
ですから…… 子供のものさしと大人のものさしは異なる 無理に時間を作らせるのではなく、ある時間を整理する これらを念頭に置いて、接してあげてみてください。
「勉強しなさい!」だと単なる押しつけですが、アドバイスするつもりで、時間の整理をしてあげると良いでしょう。大人がわかってくれた、ということで、子供との仲が良くなったりもしますから。
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2024/11/21 更新