屋根には様々な役割があります。
その主な役割は風雨や火災から家を守る事。高温多湿な日本の気候では、その材料を木材としている家屋を湿気から守るために様々な工夫がされてきました。
庇を大きく張り出し低く構えることで、壁面に雨風があたるのを防ぐとともに瓦などの燃えない素材で葺(ふ)くことにより、火事からも家を守ってきました。このように「シェルター」として必須の要素である屋根は、長い年月を経て「景観」というものを作り出す要素にもなってきました。
甍(いらか)という言葉のように、瓦屋根の建ち並ぶさまを景色として捉える意識が日本人には形成されています。京都の景観条例であれば、もっとも規制のゆるい地区でも最低限の規制として屋根の色彩については守る必要があります。
この「シェルター」と「景観」のふたつの要素に近年では、「環境」という要素が加わりました。
屋上緑化や太陽光発電など、常に太陽が当たり続けるという屋根の特性を利用した様々な試みが増えています。
特に太陽光発電などは国の補助金などで強く政策として進められてきました。蓄電池の容量が増え、同様に普及が進めば、将来はエネルギー完全自給の住宅も夢ではないかもしれません。
各戸が小さな発電所の役割をし、地域の電力を供給しあうというシステムを政府は次世代の住宅政策として掲げています。