住宅[373]

外壁塗装の価格の目安

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執筆者:前田 浩貴

最近、外壁塗装の見積り依頼を頂く事が多いのですが、業者の提案の仕方や情報発信について、とても疑問に思う事があります。

これは、外壁塗装に限らず、リフォームや新築でも同様です。 今回、何があったのかお伝えします。

外壁塗装の金額は、30~35坪ぐらいの普通の住宅であれば、100万円ぐらいの価格になります。

建物の形状や配置や築年数や以前の塗装までの期間や大きさや塗料の種類によって 価格は大きく変わってきます。

今回、私たちが外装診断をして提出した見積もり金額は150万円ぐらいでした。大きな建物で、バルコニー防水や壁のヒビ補修なども含まれた金額です。この見積もりを見たお客様の言葉に耳を疑いました……。

「この金額では、ダメだね。他社は屋根の塗装までしてこの半額以下ですよ。」

建物の大きさは50坪以上です。大きなバルコニーもあります。どんな塗料を使って、どんな工程で工事をしたら、その金額になるのか疑問でした。通常の工事内容では無理なのです。

考えられる事は3つです。

まず、安い塗料を使う。

一般の方は、どんな塗料を使っているのか、塗料にどんな特徴があるのか、どの様な施工要領なのか、使用数量はどれくらいなのか・・・など分からないでしょう。この違いは、塗り終わってすぐには分かりません。3年ぐらいすると劣化の状態が変わります。

次に、職人の手間賃を下げる 元請から定期的に仕事を貰っている下請業者である職人は、元請の要求を断る事が出来ません。

もし、断ってしまったら次から仕事がもらえないからです。職人さんにも生活があります。仕事が無ければ収入がゼロになります。会社を維持していくにも収入は必要なのです。

一般的に職人は、広告を入れたり、お客さんと話したり、契約をしたり・・・・この様な仕事は苦手なのです。だから職人として作業をしている訳で、断る事が出来ないのです。

3つ目は、施工要領を守らないです。

職人の賃金が下げられると何が起こると思いますか?そうです!手を抜くのです。

よくある手抜きは、塗装前の外壁を高圧洗浄しないとか、外壁の目地シーリング(ゴム状の防水材)を施工しないとか、塗る回数を少なくするとか、材料を薄めるとか、経験の少ない職人を担当させるとか・・・。もちろん、現場監督による管理はないでしょう。つまり、その現場は無法地帯となってしまうのです。

安く塗装をしてもらって満足出来るのは3年間ぐらいです。広告でもよく見かけます。「コミコミ50万円」では、しっかりした工事は出来ません。

それでは、どれくらいで塗装工事が出来るのか?その内訳をお伝えします。

一般的な35坪ぐらいの木造住宅の場合
足場の見積り金額は、20万円ぐらいです。あなたも聞いたことがあると思いますが、工事現場は「安全第一」です。しっかりとした足場を組まなければ、あなたの家で事故や職人が落下したなんて事があったら気持ちよくないですよね。

また、しっかりとシートで囲わなければ、お隣さんに塗料が飛ぶかも知れません。

次に職人さんです。通常の工事であれば、

高圧洗浄・・・2人で半日=1人

シーリング・・・・2人(撤去して打ち替えます)

養生・・・・2人(窓などをビニール張りします)

下塗り・・・・2人

中塗り・・・・2人

上塗り・・・・2人

樋や鈑金や破風など・・・・2人

ざっと11人工必要になります。建物の状況によって人工は増えます。 私がお伝えしているのは、最低の人員です。 職人が1日働いて、24000円だとすると合計で26.4万円になります。

職人は、1日で80㎡ぐらい塗る事が出来ますので、一般的な住宅なら2人で1工程の塗装が出来ます。雑に塗ってしまえば、もっと塗る面積が増えるかもしれませんね。

ただ安全上、現場での一人作業は禁止しなければなりません。もし、足を滑らせて足場から落下してしまったり、熱中症で倒れてしまったりと職人が事故にあってしまったとしても、あなたが帰ってくるまで助ける事が出来ません。 現場の作業は安全第一です!

さて、コミコミ50万円だとすると材料費は、残りの4万円ぐらいです。3回塗りするためには、職人の日当を減らすか、材料を薄めるか、工程を省くか、手を抜くか・・・・ 全部やるかもしれません。

さらに、元請会社の利益も必要になります。どんな工事になるのか考えると鳥肌が立ちます。 もちろん、企業努力は必要になりますが、限界があると思います。

これって、住宅業界も同じような事がありますよね。 坪単価を安く表示して集客して、来店したら営業マンが契約までしてしまうアレです。

坪単価25万円で40坪の家が1000万円で建つと思っている方は、今では少なくなりましたがそのカラクリが一般の方に広まるまでは、爆発的に集客出来ました。

集客の一つの手段として安い価格を出す事は、違法ではありません。 どこかに小さく但し書きがある場合がありますので、ウソではないからです。

どなた様も安くて良いモノを手に入れたいと思っています。 私も同じです。だけど、価格だけが判断基準になってしまうと、損をしてしまいます。

もっとも、価格が判断基準の方が多いから、「コミコミ50万円」の様な広告が出ている訳なので、消費者にも責任があるのかもしれませんね。
 
追伸
実は、この話はお伝えするのは、とても迷いました。色々と調べてみると、被害にあっている方が多く、その実態を自ら体験してしまったので、あなたには被害に合って欲しくないのでこうして記事にする事にしました。

もしかしたら、塗装業界から圧力があるかもしれません。その時は、また記事にします。皆様の為に・・・。

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