「注射が怖い」 「転んで痛い」 「なんだか怖い」
そんなことで、子どもは泣いてママに訴えてきます。このとき「我慢!我慢!」「そんなことくらいで泣くんじゃないの!」なんて励ましていませんか。それよりも痛さ、辛さを子どもと分かち合いませんか?
そこで今日は、『1人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話します。
●熱血ママタイプ
「ちっとも痛くないでしょ!これくらい我慢しなさい!」と泣いていることを叱る。 「いつまでも泣いていないの!弱虫ね!」と暗に「強くなれ」と命令する。
●寄り添うタイプ
「ああ、痛かったね」 「よく我慢したね。偉かったね」 「泣いてもいいんだよ。帰りにおやつ買っておうちで食べようね」
もし、あなたが料理中に包丁で指を切ってしまい「痛い!」と叫んだとしましょう。
●理解のない家族タイプ
夫や姑が出てきてこんな風に言われたらどうでしょう。
「なんだそんなことくらいで叫んで!」 「もっと気を付けて調理しろよ!」 「いつまでも指を抑えていないで、さっさと晩飯作ってくれよ!」
痛みが加速しませんか?
●痛みに寄り添う家族タイプ
でも、次のように言われたらどうですか?
「大丈夫か?血は止まったか?」 「それは痛いよね。夕飯の準備はもういいから少し休んでて」
なんだか傷みが和ぎませんか?
子どもが転んで泣いたとき、良かれと思って「ボーッとして歩いているからよ!」「だから『いつも気を付けて歩きなさい』って言っているでしょ!」とあれこれアドバイスするのは子どもに寄り添っていないことなのです。こんな時は「ああ、痛かったね」とだけ言ってやりましょう。
お友達と喧嘩をして泣いて訴えてきたときも「喧嘩をしないで仲良くしないとダメでしょ!」と指示するのではなく「喧嘩して悲しくなっちゃったんだね」とまず言ってやりましょう。
鬱病患者が診察に訪れたとき精神科医やカウンセラーは決して意見はしません。患者が「夜眠れないくらい辛いんです」「死にたくなるんです」と訴えてきたとき「そんなこと考えてはダメですよ」とか「元気を出しなさい」「頑張りなさい」と叱咤激励はしません。
もし、これらの言葉をかけてしまったら患者は「どうこれ以上頑張れって言うの?誰も私の苦しみなんか理解してくれない」と追い込まれてしまいます。自殺の引き金になってしまうこともあります。だから、むやみやたらに励ましてはならないのです。
こんなとき、心の治療の専門家は患者の気持ちに寄り添い「辛いんですね」「死にたい気持ちになってしまうんですね」「元気が出ないんですね」と返します。すると患者は共感してもらえたと感じ、ここから初めて治療がスタートします。
転んですりむいたら、どう考えたって痛いわけです。それを一番、慰めてほしい親から「それくらい痛くない、我慢、我慢」と熱血教師のように励まされても、子どもは救われません。「ああ、血が出てしまったね。痛いのね。早く治るようにお薬塗ってバンドエード貼ろうね」とだけ優しく声をかけましょうね。
※この記事を書いた立石美津子さんの著書
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