子どもが言葉を覚える過程って理屈ではありませんよね。親が使って入れば真似して自然に使えるようになってきます。
そこで、今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子が敬語の使い方あれこれについてお話し致します。
幼児期からの言語環境で子どもは様々な言葉を獲得していきます。「やばい、、まじ、超」の言葉が飛び交う家庭に育った子どもは当然のようにそれらを真似して使うようになります。
けれども、ご飯を食べているとき親が「これ美味しいね「とても大きなピザだね」と使っている家庭で過ごしていた子どもは、友達が「これマジ美味しい」「でっかいピザだね」と思わず叫んだとき、友達付き合い上、付き合って合わせて使うことはあっても、心の中では違和感を感じていたりするものです。これを“体内辞書”と仮に名付けてみました。
その中で日本語の中で難しいと言われている“敬語”も幼児期から親が使い、子どもの中に辞書を作ってしまいましょう。
(C)あべゆみこ
この文章に違和感がありますか?
以下の文章を読んで「なんだか変だな」と感じますか。更にどこがおかしいかわかりますか?気が付く人は体内辞書がある人なのかもしれません。
・私はそれについてはご存知でないのです。
→正しくは「私は存じておりません」“ご”は尊敬語なので自分の行為に使うのは誤り。
・お母様が申されたように
→謙譲語を相手の動作に使っているから×、正しくは「お母様がおっしゃったように」
・おっしゃっておりました
→目上の人の動作に尊敬語(おっしゃる)と謙譲語(おる)を 混ぜているから×。正しくは「おっしゃいました」
・おっしゃられました、お越しになられました、いらっしゃられました、何をお召し上がりになりますか
→二重敬語なので×。正しくは「おっしゃいました、お越しになりました、いらっしゃいました、何を召し上がりますか」
・受付で伺ってください
→「伺う」は謙譲語。相手の動作に使っているから×。正しくは「受付でお聞きになってください」
・鈴木様でございますね
→ございます」は謙譲語なので相手の動作に使っているから×。正しくは「鈴木様でいらっしゃいますね」
・佐藤園長は外出しております
→目上に対して身内に敬称を付けているから×。正しくは「園長の佐藤は外出しております」
・お客様がこられています
→「いらっしゃる」「お見えになる」「お越しになる」の尊敬語があるのに何でも「れる、られる」で済ますのは幼い印象。正しくは「お客様がお見えです」「お客様がお越しになっています」
・恐れ入りますが名前を教えてください
→「教えてください」が敬語ではない。正しくは「恐れ入りますがお名前を伺ってもよろしいでしょうか」「恐れ入りますがお名前をお聞かせいただけますか」
体内辞書を確立するためには子どもの前で話す言葉を次のように言い換えましょう。
×園長先生が来たね
↓
○園長先生がいらしたね。いらっしゃたね。お越しになったね
×園長先生が言っていたでしょ
↓
○園長先生がおっしゃっていたね
×これ誰にもらったの?(子ども同士の玩具ではなく、明らかに目上の人からもらったような物の場合)
↓
○これ誰に頂いたの?
×△△さんのお母さまは予定通り行きますか?(PTA会長やママ友のお母さまなど同じ立場ではない人に話をするとき)
↓
○△△さんのお母さまは予定通りお出かけになりますか?
×この記念品は園長先生からもらったのよ
↓
○この記念品は園長先生から頂いたのよ
子どもには“丁寧語”“尊敬語”“謙譲語”の3つの使い方を理屈で教える必要はありません。周りが使っていれば自然と身に付きます。今日から子どもの言葉の教育のためにちょっと意識して言葉を使ってみましょうね。ママ自身も敬語の勉強になりますよ。
※この記事を書いた立石美津子さんの著書
(画像をクリック、またはタップでアマゾンへジャンプします)