教育[725]

「ごめんなさい」を言わせることが目的にならないように

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執筆者:門衛 教育運営チーム

親は日常のさまざまな場面で、「人に会ったら挨拶しなさい」とか「ご飯のときは立ち歩いちゃダメ」と子どもに注意します。

その目的は、子どもが成長したときにうまくやっていけるように、という親の思いからです。けれども子どもにはなかなか思いが伝わらず、子どもが成長するにつれて反抗されることもしばしばです。

子どもにとって、親の叱責はいやなことですから、反抗や言いわけやウソをつくことで、その場を逃れようとします。

ありがちなのは、子どもが言うことを聞かないから叱る⇒「ごめんなさい」と言わせる⇒子どもが形式的にあやまる、というパターンです。が、しつけの本来の目的は、親が子どもにいいことは何か、悪いことは何かを伝え、子どもが理解し納得することです。「ごめんなさい」と子どもに言わせるのはあくまでも手段であって目的ではないのです。

では、子どもが納得をするためには、親はどのように子どもに伝えたらよいのでしょう。子どもを責める前に、親が伝える努力をしているか、感情のままに話していないか、そこを考えてみる必要がありそうです。

「まずは伝えるための環境を整えましょう。テレビがついているようなら消し、ほかの兄弟姉妹が騒いでいるようなら、別の部屋に移動します。話すときは、子どもの近くまで行って穏やかに話しましょう。立ったまま、上から目線で威嚇するように話すのではなく、目線を同じにしたほうが気持ちは伝わります。

親としてはもちろん穏やかに話したいけれど、会話が進むにつれてヒートアップしがちです。「たしかに親も同じ人間ですから、感情を100%コントロールすることは難しいですよね。

そんなときは、感情を爆発させる前に子どもから離れる、深呼吸をするなど、自分を落ち着かせる工夫をして冷静な気持ちを取り戻しましょう。そして、感情的に子どもをやり込めるのではなく、子どもが心から「しまった」と思えるように、なるべく穏やかに事実を伝えるのです。

子どもはしまったという体験があれば、自然にごめんなさいが言えるようになります。すぐにごめんなさいが言えなくても、しまったという体験さえ経験できれば、まずは十分だと思います。

反抗心を抱かせない、注意するときは子どもと同じ目線の高さで。

ケース:父からさわることを禁じられている携帯電話を無断でいじっている小1のKくん。それを見たお父さんは…。

×「なにやってるんだ!お父さんの携帯にはさわっちゃいけないって言ってるだろう。返しなさい」(近づきながらどなって怒鳴って、最後に取り上げる)

○「お父さんの携帯にはさわらないでほしいんだよ。返して」(そばまで来て、同じ目線の高さで)

まず×のケースですが、父親が感情的になって、Kくんに怒りながら近づき、無理やり携帯電話を取り上げるような例です。これは威圧感がありますし、子どもにとってはとてもこわいと思います。

子どもは年齢が上がるにつれて反抗心も強くなりますから、そろそろ返そうかなと思っていたところに、パパから頭ごなしに叱られれば、「せっかく返そうと思ってたのに」とか「うるさいな」など、子どもの反抗心を余計に刺激する結果になってしまいます。

いわば、子どもが「ごめんなさい」と言えない環境を親がつくってしまっているわけです。 携帯電話にさわってはいけない、というルールを破ったKくんに対しては、大人が折れる必要はありません。問題はその伝え方です。

○のケースでは、パパはKくんのとなりに座って目の高さをそろえ、威圧感を与えないように穏やかに話しています。もしKくんが1回で言うことを聞かなかったとしても徐々に声を上げるようなことはせず、一定のトーンで「返して」と繰り返します。

子どもがルールに従うまで親は妥協せず、子どものそばから離れないようにしましょう。「返そう」という気持ちがあったわけですから、従いやすくなります。そして、子どもがルールに従ったときは、「ありがとう。返してくれたんだね」と行為を認め、一言ほめるのを忘れないようにしましょう。

認めることで、その行為=いいこと、と子どもの頭にインプットされます。

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教育総合ランキング2024/11/23 更新

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