教育[725]

気を引こうとする子ども

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執筆者:立石 美津子
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私の担当した生徒でこんな子どもがいました。授業中に突然椅子を倒す、鉛筆を投げる、「先生、おしっこ~」とさっきトイレに行ったばかりなのにまたすぐ行きたがる、「血が出た」と血なんか出ていないのにわざわざ席を立って指を見せにくる。「バンドエイド貼って」と叫ぶ。
 
最初、私はこの生徒の思うつぼにはまっていました。「どこを怪我したの?大丈夫?」「椅子を倒しちゃ危ないでしょ」「ほら、鉛筆落ちているわよ(と言って私が拾ってやる)」頻繁にトイレに行くので下痢でもしているのかと思い授業を中断してトイレに付きそう。でも、これらは子どもの嘘、それに全部踊らされていた私・・・
 
私も気を引きたがる子どもでした。幼児期~小学校低学年にかけて何もかもダメ。全校生徒の中で一番身体が小さく、運動も勉強も最下位。
 
算数の授業にて、計算問題が全部出来た生徒から先生の前に並んでマルを付けてもらい、一等賞~五等賞までの子どもは先生に褒めてもらい豪華なシールをもらえるというルールがありました。競って一番になるため皆頑張っている中、私はどんなに頑張っても勉強ができるようになりませんでした。
 
「もう出来たんだ。満点凄いね」とナンバー5に入った生徒に声をかけていた先生も、10人目くらいから特に声をかけなくなります。でも最下位にいてグズグズやっていると「まだ頑張って計算を解いている人がいるんだから静かにするように」と先生は声をかけてくれました。
 
これに気をよくした私はこれを「特別扱いされている言葉」と捉え一番ビリになろうとゆっくり計算していました。どんな形でも良いから認めて欲しかったのです。

小学校3年生の時、図画工作でカレンダー作りがありました。私は3月の担当。黄色い画用紙に赤いお雛様の絵を描いたら先生が私の画用紙を手にして皆に見せ「皆さん、立石さんの絵を見ましょう。黄色い背景に赤いお雛様の着物、とても映えて素晴らしいです」と褒められました。その場面は40年以上経過しても鮮明に私の脳裏に刻まれています。

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教育総合ランキング2024/11/21 更新

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