8月以降の世界的な株安の連鎖が収まらず、その度に「中国の景気減速で世界同時株安」との報道で溢れています。
しかし、「中国の景気減速が世界景気を失速させる」といった多くのメディアの論調は、データ的な裏付けに乏しい憶測に過ぎず、最近の株価の乱高下に対する説得力にも欠けます。
「市場を席巻しているのは、ヘッジファンドに代表される短期の投機マネー」という需給による現象面を理解すれば、今後の相場の行方が見えてくると思われます。
株式投資を行う際は、自分自身が正しい認識を持つと同時に、他の市場参加者がどう考えているかを考慮する必要があります。
このため、「市場は常に正しい」という前提の下で、株価の動きから後講釈的にその理由や因果関係を求める傾向がありますが、市場参加者の様々な思惑で売買される状況においては真実などわかるすべはなく、そうした理由付けは便宜的なものに過ぎません。
ここで申し上げたいポイントは、「株価は中長期的にはファンダメンタルズを反映するが、短期的には売りと買いの力関係による需給で動く」ということです。
株価急落の直接的要因である8月の海外投資家の大幅売り越しも、短期マネーによる売り仕掛けで株安となったことを受けて、リスク管理の観点からの機械的なポジション整理が中長期の投資家にも広がったとみられており、後講釈的に株価下落の原因が中国と決めつける説明には無理があると言えます。
こうしたなかでは、私たち個人投資家は短期的な株価変動ではなく、中長期のファンダメンタルズの方向性に焦点を当て、投資を行うことが大切だと思います。
今後の相場の行方を巡っては、中長期的な視点での市場関係者の見方は強気と弱気が交錯しており、 弱気派は総じて中国景気への懸念を重く見ており、強気派は底堅い日本企業の業績を背景に、株価水準が大きく下がった現在は買いの好機と判断しているようです。
こうしたなか、私は下記の理由により、日経平均17000円台は買いの好機であり、年末までに20000~20500円程度まで上昇すると予想しています。
日経平均17000円台は、昨年末の17450円から見ると、21000円近くまで上昇した今年の株価上昇分をほぼ吐き出す水準であり、中国の影響を考慮に入れても今期過去最高益が見込まれる企業業績を否定していることになります。
株価 = 企業業績(1株利益)×人気(PER)で示されるなか、17000円台は予想PER14倍台とリーマンショック後のPERレンジ14~17倍の下限にあり、割安感が強い状況です。 慎重な今期業績計画に増額余地があることから、予想PERでも15.5~16倍まで買われれば、年末までに20000~20500円程度が期待されます。
また、9月5日に閉幕したG20財務相・中央銀行総裁会議での協調体制強化もあり、主要国の政府や中央銀行が景気鈍化や株安を傍観するとは思えず、追加緩和や景気刺激策が支援材料となるでしょう。