雇用保険とは、会社に勤めている間に保険者に保険料を支払い、万が一失業した場合に、再就職するまでの期間の生活を保障するための給付を、保険者から受ける保険のことです。
この保険は民間の保険とは異なり政府が保険者となります。また、加入は任意ではなく、適用事業を行う事業所に、一定の条件で就職した場合には、必ず雇用保険に加入しなくてはなりません。
万が一、雇用保険に加入すべき要件を満たしているにもかかわらず、会社が労働者を雇用保険に加入させなかった場合には、事業所が国から懲役や罰金などの刑罰を受けることがあります。
さて、雇用保険の(強制)適用事業とは、労働者を1人以上雇用する事業所で暫定適用事業以外の者です。暫定適用事業とは、常時5人未満の労働者を雇用する農林の事業、畜産、養蚕、水産の事業で、個人経営のものが該当します。
簡単にいうと、労働者が5人未満の個人経営の農家などを除けば、ほとんどの事業所は、雇用保険をかけなくてはならない事業所となるということです。
さて、事業所側の雇用保険の適用条件は上で述べたとおりですが、今度は、従業員側の雇用保険の加入要件について述べます。適用事業を行う事業所に就職した労働者は、一定の例外を除き、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上継続して雇用されることが見込まれる場合には、雇用保険の加入義務が発生します。
一定の例外とは、法人の代表取締役や監査役、学生アルバイト、生命保険会社の外交員、同居の親族、臨時的内職的に使用される者、などです。学生ではない一般の方が、1週間の所定労働時間が20時間以上で普通に勤められる場合には、ほとんどの場合、雇用保険の被保険者となります。
雇用保険料は、毎月の給与から引かれます。雇用保険の被保険者の方が、給与明細を見ると、毎月雇用保険料として給与から控除された金額が表示されています。雇用保険料は、事業主と労働者の双方が負担します。
建設、農林、清酒製造の事業等を除く一般の事業では、平成26年度の雇用保険料率は、事業主負担分0.85%、労働者負担分0.5%です。例えば、月の賃金総額が260,000円であったとすると、その月の給与から引かれる雇用保険料の金額は1,300円となります。
会社は、毎月毎月の労働者に支払った給与から天引した雇用保険料の労働者負担分を積み立てておき、毎年7月に、その積み立てた労働者負担分の雇用保険料に、1年分の事業者負担分の雇用保険料を合わせて、保険者に支払います。正確に言いますと、1年分を概算払いしていますので、毎年7月に精算します。
会社などに就職して、雇用保険の被保険者になると、会社から雇用保険の被保険者証が交付されてきます。この被保険者証は、会社を離職してハローワークから求職者給付を受けようとする場合や、年金などの支給手続きの際に必要となりますので、大切に保管します。
会社によっては、雇用保険の被保険者証を労働者に交付せず、会社で保管している場合もあります。しかし、それは違法な行為で、会社は被保険者証を労働者に交付する義務があります。会社が雇用保険の被保険者証を交付しない場合には、会社に保険証の交付を申し入れましょう。
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2024/11/21 更新