[社会保障]労災保険の給付基礎日額と計算例について

労災保険の給付基礎日額と計算例について

2015/02/20

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労災給付の基本になる給付基礎日額

労災保険の給付には現金給付と現物給付があります。このうち、現金給付に関しては、給付基礎日額が、たいていの現金給付による労災保険からの給付の基本となります。ここでは、この給付基礎日額について考えます。

傷害補償年金の金額は給付基礎日額で定まります

例えば、労災年金の場合、業務上による傷病が治癒し、症状が固定した状態において、労働者災害補償保険法施行規則(以下、規則といいます。)に定める障害の状態に該当した場合、傷害補償給付が支給されます。

規則で定める障害が1級から7級の場合には、障害補償年金が支払われます。この傷害補償年金の金額が、1級が給付基礎日額の313日分、2級が277日分、3級が245日分、4級が213日分、5級が184日分、6級が156日分、7級が131日分です。

同じく規則に定める障害が8級から14級の場合には、傷害補償一時金が支払われます。一時金は年金とは異なり、1回限りの給付となります。この金額は、8級が給付基礎日額の503日分、9級が391日分、10級が302日分、11級が223日分、12級が156日分、13級が101日分、14級が56日分となっています。

その他の労災給付も給付基礎日額によって決まります

労災給付には、年金や一時金として、遺族補償年金、傷病補償年金、遺族補償一時金などがあります。これらの年金や一時金は、すべて、傷害補償給付と同様に、給付基礎日額を基本として定まります。

また、業務上の災害による傷病により会社を休んだ期間について、労災保険から休業補償給付が支払われます。この休業補償給付は、給付基礎日額の60%と決められています。

以上のように、労災保険からの現金による給付の金額の決定に関しては、給付基礎日額が非常に重要な役割を果たします。給付基礎日額が分からないと、労災保険給付の金額を見積もることはまず不可能です。

給付基礎日額の計算例

給付基礎日額とは、原則として労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とされています。この平均賃金に相当する額とは、業務上の負傷や死亡の原因となる事故が発生した日又は業務上による疾病が確定した日以前3か月間に受けた総賃金を、その3か月間の総日数で除した金額となります。

なお、この際の賃金とは、労働の対償として労働者に対して使用者から支払われたすべてのものが該当します。労働の対償ですから、退職金、結婚祝金、病気見舞金などの任意的・恩恵的なもの、住宅の貸与や食事の供与など福利厚生的なもの、作業服や出張旅費など実費弁償的なものは、賃金にはなりません。

例をあげますと、5月31日に作業中の事故により怪我をした方の事故発生日以前3ヵ月間の賃金を、3月が280,000円、4月が320,000円、5月が340,000円とします。3月から5月までの総暦日は31日+30日+31日=92日です。

3月、4月、5月に受けた賃金額の合計は940,000円です。これを3か月間の総暦日で割ると10,217円(1円未満四捨五入)となります。この金額が給付基礎日額となります。この方が受ける労災年金の保険給付の金額はほとんどこれにより定まります。

給付基礎日額の最低保障額について

なお、給付基礎日額については自動変更対象額が定められております。この自動変更対象額とは、給付基礎日額の最低保障額のことで、実際に計算された給付基礎日額がこの最低保障額を下回る場合には、この自動変更額が給付基礎日額となります。この金額は、平成26年8月の時点では、3,920円となっています。

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