第2回「公的年金と私的年金の違い」において、公的年金と私的年金の違いについて解説しました。
それでは今回は公的年金のうち、「国民年金に入る人ってどんな人?」について解説します。
■三種類に区別される
国民年金は、第2回で使用した下図にもあるように、三種類の加入者に分けられます。
被保険者とは、国民年金に加入する人をさします。
第1号被保険者
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者で、第2号被保険者・ 第3号被保険者でない者
第2号被保険者
被用者年金制度の被保険者、組合員または加入者(原則65歳未満)
第3号被保険者
第2号被保険者の被扶養配偶者であって20歳以上60歳未満の者
第1号被保険者は、主に自営業者、学生が該当します。第2号被保険者は、主にサラリーマンや公務員が、第3号被保険者は第2号の方に扶養されている方(専業主婦(夫)など)が該当します。
この第1号~第3号に該当する方は、法律上の要件を満たせば必ず国民年金に加入しなければならない「強制加入被保険者」に該当します。一方、これ以外の方で、自らの意思で加入できる「任意加入被保険者」の方もいます。
任意加入被保険者とは、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方で厚生年金などの被保険者ではない者、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の日本国籍を有する者などで、第1号被保険者として国民年金に加入したい者が該当します。
65歳から年金をもらうけども、加入期間が少なかったためもう少し年金を増やしたいとお思いの方。海外で仕事をしているものの、老後は日本で暮らしたいと思っている日本国籍保有者。こうした方が希望して任意加入被保険者になるのです。
■国民年金の被保険者には国籍要件はない
国民年金に加入するためには、日本国籍が必要かというと実はそうではありません。第1号被保険者は、日本国内に住所を有する人が該当します。つまり日本に住んでおり、20歳以上60歳未満であれば、第2号・第3号に該当しない人は原則第1号に該当するわけです。
第2号被保険者と第3号被保険者については、住所地が外国であっても構いません。厚生年金という被用者年金に加入する企業に勤める方は、原則として住所がアメリカであろうが、中国であろうが、第2号被保険者に該当するのです。
なお、外国人の留学生なども要件を満たせば日本の国民年金に加入することになります。ただし、彼らが国民年金の第1号被保険者として保険料納付済期間が6ヵ月以上あるものの年金を受給できない場合には、帰国後2年以内に請求すれば、「脱退一時金」が支給される仕組みが設けられています。
■全被保険者に共通する「基礎年金」
この国民年金の給付には、要件を満たす全被保険者に共通して給付される基礎年金(老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金)があります。一方、自営業者などの第1号被保険者のみが独自に給付できる仕組みとして付加年金、寡婦年金、死亡一時金などがあります。
国民年金一つとっても、こうした給付の仕組みは様々あります。次回は老齢基礎年金について解説していきます。
【伊藤亮太の易しく解説】
第一回
>>「日本の社会保障制度の体系について」
第二回
>>「公的年金と私的年金の違い」
第三回
>>「国民年金に入る人ってどんな人?」
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2024/11/10 更新