子供たちが熱中して取り組んでいる時は「やりたいこと」が明確であるときです。そのとき、子供たちは「集中力」を大いに発揮しています。
このことから集中力を育てるには、具体的に何をするかが明確である必要があることがわかります。
そこで「辞書引き」が役に立つのです。学習では気づきや疑問を持つことが大事とよく言われますが、それだけでは学びにはつながりません。「調べる」という、何をするかの行動があってこそ、抱いた疑問が解け、さらなる疑問解明につながるという学びが始まるのです。
調べることを面倒がる子になれば、いい気づきや疑問を抱いたとしても、知的欲求をみたすことにはつながらないのです。
「調べる」という行為を習慣化するために、小学校一年生から「辞書引き」学習法に取り組ませることをおすすめします。一般に国語辞典という辞書はわからない言葉や語句を調べるためのものと思われています。それも一つの機能ですが、そこに書かれている解説は子どもたちの「知りたい」と思う欲求を満たす宝庫となり得るのです。
一年生の早い段階では、まず知ることの楽しみを経験させることで、辞書に親しませます。それには、自分の知っている言葉を自由に引いて、自分の持っていた答え(意味)と同じかどうか確かめるのです。
また、一年生は言葉に関心の強い時期です。感情や行動が広がり、新しい体験を言葉で表現しようとしても、自分が持っている言葉ではないことが多いので、表現に適した新しいことを知ろうとするからです。
そのとき役立つのが「国語辞典」や「漢字字典」にほかならず、言葉のレパートリーをどんどん広げてくれます。五十音で引くことに慣れると、さらに詳しい辞典や図鑑類を見るとき、最初のページから探していくのではなく、索引を使えるようになって、学習速度や密度が増します。
辞書は漢字力・読解力・想像力を育てるだけではなく、言葉は経験があってこそ理解されるという本来の姿から、自ら体験してみようとか、他人の気持ちを察するなど、子供たちの体験や精神の発達を促します。辞書引きが習慣化すると「調べる」労をいとわなくなり、学ぶことをおっくうに思わない、学問への自主性が培われるのです。
正しい辞書の選び方
1.好みの辞書を選ぶ
他の子の辞書と違って構いません。辞書によっては解説や引用例などが一様ではありませんが、子供たち同士で見比べることで、標準的見解に揺らぎがあることを知り、自分なりの考えを持っていいことを学びます。
2.収録語数の目安は15000語
語彙が少ないものを選ぶと、知りたい言葉が載っていないこともあります。すべての漢字にふりがながふってあると、解説を理解する手助けになります。
3.辞書は消耗品と心得る
書店で子供に自由に選ばせることで、自分専用の辞書としての愛着が生まれます。選ぶのに迷う時は、1つの言葉を何冊かの辞書で引き、子供が一番納得のできる解説のものにします。辞書は消耗品と心得て、どんどん引いて、書き込みなども許してください。
辞書好きになる3つの仕掛け
1.身近に置こう
ケースやカバーを外して使いやすくし、家庭でもいつも身近に置いて、疑問に思ったことをすぐ引ける「生活何でも辞典」として使いましょう。
2.辞書の隣に付箋を添える
一度引いた言葉には付箋を貼ります。貼った量は頑張りの量として自分で実感できます。付箋には通し番号と調べた言葉を書き込んで、引いた数と言葉を確認できるようにします。5,000語以上を調べ、辞書を半年で使いつぶす子もいます。
3.たっぷり褒める
最初は付箋100枚を目指し、身近な動物や道具の名前を引いてみます。ママも一緒になって引いたり、子どもの引く態度をほめて意欲付けをしましょう。何を調べるか子供の自由に任せて、批判しないことが大切です。
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2024/11/20 更新