保険[73]

伊藤亮太の易しく解説②「公的年金と私的年金の違い」

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執筆者:伊藤 亮太

伊藤亮太の易しく解説!

社会保障シリーズ

第2回
「公的年金と私的年金の違い」

皆さん、公的年金と私的年金にはどんなものがあるかご存知でしょうか。そして、公的年金と私的年金の特徴・違いは何だかわかりますか?

今回は、この公的年金と私的年金の違いについてピックアップして解説していきたいと思います。

社会保障制度の一環として実施されるものが「公的年金」

公的年金制度の仕組み

まずは図をご覧ください。この図に記載されている年金制度が『公的年金』とよばれるものになります(※1)。

公的年金は、国民の生活の安定を図るための社会保障制度の一環として実施されるものであり、基本的には高齢期の生活を支える役割を担っています。

詳細は国民年金の解説記事で書くことにしますが、全国民に共通となる『国民年金』を土台として、会社員の方には厚生年金、公務員の方には共済年金が支給される構造となっています(※2)。

さて、こうした公的年金ですが、大きな特徴として5つ挙げることができます。

まず、強制加入である点です。例えば、学生さんや自営業者の方が該当する国民年金第1号被保険者の場合、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者は国民年金に加入する必要があります。

次に、年金額の実質価値が維持される点です。原則として物価スライド制という仕組みが発動するため、物価が上がればそれに応じて年金額もあがる仕組みとなっています(※3)。

三つ目に、終身年金であることです。つまり、生存している限りは公的年金は一生涯支給されます。 四つ目に、公的年金の財源は、保険料や積立金の運用収入以外に、税金(国庫負担)投入がある点です。今や国民年金については、半分が税金投入されています。

また、今の現役世代の保険料が、退職世代の年金として支給される「世代間扶養」の仕組みが取られています。 五つ目に、所得が低い場合などで保険料を支払うのが難しい場合には、保険料の減免制度がある点です。 こうした特徴は『公的年金』だからこそできる特徴であり、個人年金とは大きく異なる点といえます。

※1 国民年金基金や厚生年金基金、確定給付企業年金なども包括して公的年金制度に含めることもあります。

※2 2015年10月から、厚生年金と共済年金は統合される予定です。

※3 マクロ経済スライドなどの仕組みにより、物価以外にも調整される仕組みがあります。

私的年金は民間の保険会社などを中心に販売

次に、私的年金の特徴について解説します。私的年金は、個人の自助努力として、民間の保険会社などを中心に販売されているものです。

企業が福利厚生の一環として実施する『企業年金』も該当しますし、生命保険会社や銀行などが個人に販売する『個人年金』があります。

こうした私的年金の特徴は、強制加入ではなく任意加入であること(入りたい人だけが入る)、物価が上昇した場合などの実質的な年金額の維持が難しいこと、受け取れる期間が決まっている有期年金・確定年金型が多いこと、保険料は企業年金では企業負担が重くなるケースが多く、個人年金では個人の保険料と運用収入のみで構成される点などが挙げられます。

自助努力でコツコツ積み立てていくのが私的年金ですが、公的年金にはない弱点をもつ点も忘れてはなりません。

そうした点も考慮しながら、公的年金、私的年金、そして他の運用も検討し、ご自身の老後資産を構築していくことが今後は更に求められることになると思われます。

伊藤亮太の易しく解説

第一回
>>「日本の社会保障制度の体系について」

第二回
>>「公的年金と私的年金の違い」

第三回
>>「国民年金に入る人ってどんな人?」

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