雇用保険料は、雇用保険適用事業主と雇用保険被保険者がそれぞれ負担します。雇用保険料は、4月1日から翌3月31日に支払われた賃金総額に雇用保険料率を乗じて算出します。支払方法は、新しく事業を始めた場合には事業開始の日から50日以内に、その他の場合には毎年6月1日から40日以内に、1年度分をまとめて納めます。
さて、平成26年度の雇用保険料率は、一般の事業が、労働者負担分が5/1,000、事業主負担分が8.5/1,000です。農林水産業・清酒製造の事業では、労働者負担分が6/1,000、事業主負担分が9.5/1,000です。建設の事業では労働者負担分が6/1,000、事業主負担分が10.5/1,000です。
事業主は、毎月従業員に支払う賃金額に、各事業で規定する雇用保険料率の労働者負担分を乗じた金額を雇用保険料として天引きで徴収します。そして、それを原則年1回の雇用保険の支払時期まで預金などで預かります。
毎年の保険料の支払の時期になりますと、事業主は、対象となる保険年度(4月1日~翌3月31日まで)に労働者に対して支払った賃金総額に各事業で定める雇用保険料率の事業主負担分を乗じた金額を用意します。そして、これに毎月徴収していた雇用保険料の労働者負担分を合わせて、都道府県労働局収入官吏に支払います。
納められた雇用保険料は、雇用保険の被保険者が失業した場合に受給する失業給付の財源となる部分と、雇用保険二事業の財源となる部分に分かれます。失業等給付の財源となる部分については、被保険者と事業者が折半で負担します。一方、雇用保険二事業の財源となる部分については事業主が全額を負担します。
なお、雇用保険二事業とは、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図る雇用安定事業と、職業生活の全期間を通して労働者の能力の開発・向上を促進する能力開発事業があります。助成金の財源は、雇用保険料のうち、この雇用保険二事業分から賄われます。
さて、雇用保険料のうち、失業等給付の財源となる部分については、事業主と被保険者が折半して負担します。ですから、一般の事業では、雇用保険料率の全体は13.5/1,000ですが、このうち失業等給付に向けられる部分が10/1,000です。
この10/1,000のうち、労働者(被保険者)が5/1,000を、事業主が5/1,000をそれぞれ負担します。しかし、一般の事業の事業主負担は8.5/1,000となっています。実は、この差額3.5/1,000が雇用保険二事業に向けられる分となります。
一般の事業で考えると、雇用保険料率は、失業給付の財源となる労働者負担分が5/1,000、失業給付の財源となる事業主負担分が5/1,000、雇用保険二事業の財源となる事業主負担分が3.5/1000の3つの要素で構成されていることになります。
同様の考え方により、農林水産・清酒製造の事業では、3.5/1,000、建設の事業では4.5/1,000が、事業主負担分のうち雇用保険二事業に向けられる分となります。農林水産・清酒製造の事業では雇用保険二事業に係る事業主負担は一般の事業と同じですが、建設の事業では、それは若干高く設定されています。
結局、雇用保険二事業の財源は全て事業主が負担しています。そして、助成金の財源は雇用保険二事業から支出されます。助成金支給申請ができるのは、雇用保険適用事業主に限られているわけですが、雇用保険二事業の財源、即ち助成金の財源は、事業主が支払う雇用保険料から賄われているわけですから、当然といえば当然です。