リフォームを選択する理由のもう一つに、今の敷地に今の建物と同じ面積のものが建てられないということもあります。建てた時と現在の法律や条例が変わったり、用途地域の見直しが行われたという場合です。
私見ですが、新耐震前のお宅を何件か見せていただいたことがあります。昔の建物は、当時の大工さんが丹精込めて建てたというような、丈夫で建築的には凝った建物で、材料もいいものを使っています。そのような建物は是非、耐震改修や省エネ住宅への改修をして、永く大事に住んでいただきたいと感じます。逆にバブル時代の建物は、劣化が目立ち建替えた方がいいのではと感じます。木造だけではありません。
鉄筋コンクリート造の築46年の集合住宅が近所にありますが、住んでいらっしゃるのはもう高齢の方達です。自治会では建替えはしないと決めたようです。ですが、自治会では小まめにメンテナンスをしていて、かつ設計と施工がしっかりしているので、未だに古いと感じさせません。
昨年、私は100年以上経った木造の旧家のリフォームの設計監理をしました。建替えよりもリフォームをお勧めして実現しました。
実際には立派な柱梁は残し、朽ちた柱などはやり替えたり、構造耐力や温熱環境などは現在の基準にし、新築と同じ性能をもたせました。工事は、新築よりも手間がかかりましたが、リフォーム後は何とも言えない風格と、現代の住まい方にあった快適性を手に入れたと思います。リフォームにするか建替えるか、迷われているようでしたらまず設計者に相談してください。費用対効果を客観的にアドバイスしてくれます。