住宅[373]

建築士が教える「失敗しない住宅会社選び チェック項目20」

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執筆者:前田 浩貴

最近多い相談が「どこの住宅会社をどの様に選んだらいいのか分からない。」です。

確かに、住宅会社によって扱っている構造や材料が違います。 デザインに特化した住宅会社もあります。

プラン集から選ぶ間取りも沢山あります。 家づくりの進め方も違います。 金額も安い建売、注文住宅、メーカー住宅など、幅がありすぎます。 基準が違うので、選ぼうと思ってもそれぞれ良いところもあるし、悪い部分も目につきます。

そこで、私が住宅会社を選ぶための20項目を考えました。 それを何回かに分けてお伝えします。 もちろん、チェック項目は20以上ありますが、あなたが混乱してしまわないように選んでみました。だれでも簡単に分かる内容です。 是非、実践してみてください。

それでは、準備はいいですか?

1.完成したお家は見ましたか?

完成見学会として、実際に住まう方のお家を見学する機会です。

住宅展示場やモデルハウスは大きめに造っています。 外観を観て美しく見える大きさです。実際には、展示場の様な大きな住宅を建てる方はすくないでしょう。だから、現実の家を見学するのは、とても参考になります。

そして、見学会で観るポイントがあります。 間取りやデザインではありません。なぜなら、あなたとは価値観が違うからです。 そこに住まう方の理想や夢を聴いてください。そして、暮らしをイメージしてください。 「わ~素敵なキッチン」「広いリビング」では、参考にはなりません。 表に見える事では無く、その背景を感じて下さい。

2.工事中のお家は見ましたか?

どんなに素敵な間取りや良い材料を使っていても、現場がそのように造ってくれなければ全く意味がありません。 「造っているところを観ても分からないし・・・。」と思われたかも知れませんね。

技術的な事をみるのではありません。 現場は綺麗か?道具の整頓はされているのか?トイレは掃除しているのか?職人さんは挨拶をするのか?職人の車の中は清潔なのか? 工事中の家は、職人さんにとっては職場です。 あなたの職場はどのような環境ですか?掃除や道具の整頓はされているでしょう。 それと同様です。

3.住宅会社の代表の自宅を見ましたか?

住宅会社の代表の自宅を知っていると安心です。何かあったら、そこに行けばいいのです。 安心です。 また、○○工法が一番だと言っている会社の代表の自宅が▲▲工法だったら、どうして?って、なりますよね。 

4.値引きはあるのか? 

値引きをしてくれると良い業者の様に思われるかもしれませんが、値引きをした分は誰かが負担しています。住宅会社が利益を削るとは思えませんので、 泣いているのは職人さんや協力業者さんの可能性が高いです。 

もしかしたら、値引きを前提に見積もりをしているかもしれません。 大きな値引きがある時は、どうして値引きが出来るのかを質問してください。 「キャンペーンだから」「決算だから」では答えになりませんので、ご注意くださいね。 

5.アフターメンテナンスはどうなっているのか? 

長期間の保証を売りにしている住宅会社もあります。50年保障をしている会社があれば、負けまいと60年保障を出します。保障の長さで決めないでください。 

どの様な補償内容なのかを確認してください。10年毎に検査と補修をしなければ保障が出来ない住宅会社では、15年の耐久が合っても翌10年まで耐久しなければ補修工事をしなければならない場合もあります。 

または、他の住宅会社がメンテナンスやリフォームをした場合も保障が無くなってしまう場合もあります。 どこまでが無料なのかも聞いた方が良いでしょう。 

6.契約はどの段階で? 

どこかの段階で契約をする事になります。つまりお金が発生します。通常は、契約金・着手金・中間金・完了金になります。追加工事があればその金額もプラスされます。 

どの段階で、どれだけお金が必要なのかを確認してください。その時にご注意頂きたいのは、工事の出来高に合わせて入金するような契約書にする事です。 

最初に8割以上請求される住宅会社もあるようですが、 もし、会社が倒産でもしたらと思うと・・・・怖いですね。 何年か前に大手メーカーが倒産しましたが、その時には契約金の9割を請求されたようです。 そして、倒産です。そのお金を回収するのは難しく裁判にもなっています。 

7.見積もりの内容確認 

見積りに「一式」と表記されている事があります。もし、見積書が2~3枚で「一式」が多ければ、その内容を質問してください。 

見積りの中に記載されていない工事は追加工事になります。見積りが安くても、追加工事が多ければ意味がありません。エアコン、カーテン、照明、アンテナ、浄化槽、屋外給排水、設計費、外構費、・・・・などが 見積りに入っているのかを確認してください。 

安く見積もりしている住宅会社では、屋内の配管・配線や器具などの設備工事が入っていない事があります。また、工事に必要な足場も無い事が多いのでご注意ください。 

8.保障の内容はどうなっているのか? 

10年間の瑕疵保障は、大手メーカーも地元の住宅会社も同じです。住宅瑕疵担保責任保険への加入が義務付けられているからです。工事中に検査を受けて、保険に入る事が出来ますのである程度の品質は守られています。

その他に、地盤保障や完成保証など様々な保障制度がありますが、無料ではありません。住宅会社にとって義務化されていない保障ですので、有料になります。「無料ですよ。」と言われても、分からない様に見積書に入っています。 その費用は確認してください。

一番の保証は、建築の知識がある担当者がしっかりと打ち合わせをしてくれて、現場を管理してくれる事だと思います。

9.プランは建築士が考えているのか?

無資格の営業マンが図面を描いている事がよくあります。 または、プラン集から選んで土地に当てはめるだけのプランです。

建築士が考えるプランは、法律・構造・コスト・デザイン・使い勝手・近隣の環境など 様々な事柄を考慮してプランを考えています。これは、プロの技なのです。プラン集のプランが悪い訳ではありませんが、あなたにマッチしたプランを手に入れるのなら建築士にプランをしてもらう事をお勧めします。 でも、全ての建築士が出来る訳ではないのですけどね・・・。

そして、どれくらいで家が建って、住むことが出来るのかも聞いてください。 プランによっては、工事期間が長くなる場合もあります。

10.オリジナルのプランなのか?

先にお伝えしたように、建築士のプランは色々と考えてあることが多いです。しかし、全てではありません。 建設業界では、「自由設計」「注文住宅」って言葉がありますが、それには定義がありません。

プラン集から間取りを少しでも変更したら注文住宅って言われます。間取りを変えれば、構造も変更する事になるので建築士が関わる事になります。

でも、これってあなたが思っている注文住宅をちょっとイメージが違いませんか? 「建売住宅」ではない住宅を「注文住宅」「自由設計」と言う場合がほとんどですので、ご注意ください。

11.無料の相談や設計はあるのか?

あなたが選んだ住宅会社がどんな家を建てていて、あなたにとってピッタリな家を設計・施工してくれるのかを確かめたいですよね。

それを判断するのが、無料の相談や設計になります。会社によって、その内容は違いますので最初に聞いてください。そして、絶対に聞かなければならないのは、「どこまでが無料ですか?」です。

無料相談のつもりで話をしていたら、いつの間にかプランと見積もりが出てきて、断りにくい状況になって・・・・「やっぱり他の会社にします。」と言ったら、営業マンから一言 「ここまでの設計業務で200万円です。」手のひらを返したように態度が変わる事もよくあります。 気を付けて下さい。

12.協力業者は、地元なのか?

永く暮らしていくうちに、部品の消耗や劣化などで不具合が生じます。そんな時には、すぐに対応してもらいたいですよね。地元の業者なら、すぐに駆けつける事が出来ます。 

また、あなたのご家族が成長されると暮らし方も変わります。より快適に暮らす為にリフォームをする事があるかもしれません。 そんな時は、相談にものってもらえます。 

業者が遠くの場合は、「ちょっとした事だと呼びつけるのは何だか悪い気がして・・・。」と思われる方も多いみたいです。 

13.完成後もお付き合い出来る住宅会社ですか?

家って工事して、完成して、お引渡しして終わりではありませんよね。家づくりの最初に理想の暮らしを要望として設計者に伝えたはずです。

その暮らしが叶っているのかを私たち住宅会社は確認しなければなりません。

例えば、「子供が元気よく育つ家にしたいな~」との要望があれば、 元気よく学校に行っているのかを私たちは見に行きます。

設計から工事までは1年ぐらいです。暮らすのは何十年にもなります。 永く付き合える住宅会社を選ぶ事は安心にもなります。

14.耐震の構造計算書が出来ているのか?

一般の方が構造計算書を見せてもらっても理解は出来ないと思います。でも、それでいいのです。 設計者に説明をしてもらってください。

「分からないからお任せ」では、業者の言いなりになってしまいます。過去にもありましたよね。耐震偽装事件!! 一般の方には分からないから、偽装できてしまうのです。

それと、設計者が構造を理解しているのかも知る事が出来ます。デザイン優先の設計者では、危険な場合もあります。 安全性があってこその住まいです。

15.敷地調査はしてくれるのか? 

土地から購入される方は、どんな土地を選んだらよいのか分からなく、とても不安になります。ですから、土地を購入前に設計者に土地を調査してもらい、どんな家が建てられるのかを聞いてから土地を購入してください。もちろん最初に「無料で出来る範囲でお願いします。」と伝えて下さいね。 

どんな事を調査するのかは、会社によって様々ですが、次にあげる事は調査してください。 

高低差、面積、方位、風の流れ、隣家の窓の位置、通学路、ゴミステーション、日当たり、水はけ、騒音 

16.土地を決める前にプランをお願い出来るのか?

土地を購入される方にとっては、家づくりで最初にする大きな決断になります。とても不安になります。 不安を取り除く為に、その土地にどんな家が建つのかを知っていたらどうですか?

プラン集から選んだ間取りを土地に当てはめるようなプランニングではありませんよ。 あなたの要望を詳しくきいてから、あなたにピッタリと合ったプランを提案してもらう事が重要です。

17.施工は自社なのか?

全ての住宅会社が自社施工とは限りません。契約金から利益分を引いて、下請業者に工事を依頼している場合もあります。住宅会社ではなく、契約会社なのです。下請業者も利益は必要ですから、契約会社と下請業者からのダブルで利益をとられて 家づくりに使われる金額が減ってしまう事が多いのです。

ですから、自社施工の会社でお願いする方が良いでしょう。施行的な話も詳しいですし、金額についても打ち合わせで教えてもらえるので、打合せや設計の時間短縮にもなります。

18.支払いは3~4回に分けてもらえるのか?

少し前の話になりますが、大手住宅メーカーが倒産しました。大手だから安心だと思っていた消費者が騙されたのです。倒産する1か月前には営業マンは契約金を急いで回収したそうです。契約時に見積もり金額の9割を入金するように求めました。そして、倒産です。

入金した全てのお金は戻ってこないかもしれません。または、時間がかなり掛るでしょう。この様なリスクを回避するために、何回かに分けて出来高で支払いをしましょう。

「完成保証」もありますので、不安であれば利用するのも良いかも知れませんね。 でも、お金が掛りますので予算に入れておいてください。

19.収納設計はしてくれるのか?

収納の中を設計するのはとても大変です。私も大変ですが、あなたも大変です。今お持ちの収納物の数と大きさを全て調べてもらって、どこで使うのかを考えて、誰が使うのかも分けて収納の設計を私たちはしています。

あなたが60万円/坪の家を購入されたとします。 押入れ2つで1坪になりますので、価値としては60万円になります。収納の設計をしないで、60万円の価値になるでしょうか?

使いやすい高さに、よく使うものが収納されている。探さなくても、どこに何があるのかがすぐに分かる。 家事の効率が良くなる収納 最低限これらが叶っている事が収納設計になります。真ん中に棚が合って、ハンガーパイプが付いているだけの収納では価値がありません。

20.仮契約金は高額ではないか?

年に1~2件この様な相談を受けます。

「仮契約で200万円支払ったのですが、その会社では建てたくなくなりました。返金ってできるのでしょうか?」

ほとんどの場合は、返金はしてもらえません。契約書のどこかに記載されているはずです。

または、仮契約金は無くても断った瞬間に請求をされる場合もあります。 「これまでに建築士に図面を描いて貰っているので、プラン代として100万円になります。」 どこまで無料でやってもらえるのかを聞いてくださいね。

これでチェックポイント20は終わりますが、まだまだ判断基準はあります。 トラブルにならない様に、お伝えした内容だけは確認してくださいね。

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