分詞は中学生でも学習しているはずなのですが、どうしても「あぁ、あれのことね!」となりにくい単元です。では、実際に分詞というのはどんな働きをするものなのでしょうか?
分詞とは?
:動詞の変化形。でも位置づけとしては「形容詞」のようなもの
現在分詞
:「~ing」の形をとり、「~している」という意味のもの
過去分詞
:「~ed(もしくは不規則)」の形をとり、「~された」という意味のもの
簡単に言うとこんな感じですね。形容詞と同じようなものということは・・・
(例)He is kind.
(例)He is running.
(例)He is liked.
というように考えればよいでしょう。
まず中学でも学習している内容かつ高校1年生でもテストに出題される「分詞の位置」についていきます。
(例)
走っている少年たち
→running boys
(例)
公園の中で走っている少年たち
→boys running in the park
(例)
壊された窓
→broken window
(例)
トムによって壊された窓
→window broken by Tom
これらの例からわかるように、「分詞の後ろ」に追加の言葉がくっついてきた場合は、分詞は「後ろから前の名詞に向かって」かかるように置きます。逆に、何も追加の言葉がついていないなら、ふつうに「前から後ろ」にかけるように置きます。
さて、分詞の中でもちょっと注意が必要なのが「感情動詞」です。例えば、中学でも「surprise」や「interest」は触れているはずですが、今一度しっかり突き詰めていきましょう。
感情動詞(感情を表す動詞) →原形は「~せる・させる」、~ingは「~させるような」、PPは「~している」の区別を覚えるべし!
特にふつうの分詞と違って過去分詞(PP)が「~している」になることに注意が必要です。
例:
surprise(驚かせる)
→surprising(驚かせるような)
→surprised(驚いている)
ですから、よく高校生が間違える問題もこれをマスターしておけば全く苦戦しなくなります。
(例題)
Have you seen that ( ) movie yet?
①moving ②moved ③to move ④move
→moveは「感動させる」ですから、「( )映画」と言ったらもちろん「感動させるような映画」になりますね?
よって解答は①となるのです。
<似たもの動詞のhaveの区別>
不定詞の中で「使役動詞」をやりましたが、その中に「have O 原形~」というものがありましたね?意味は「Oに~してもらう」ですが、ここではそれに似たものが登場してきます。
have O PP~:Oを~してもらう
アレ?と思った人は特に注意が必要です。「Oに~してもらう」ではなく「Oを~してもらう」ですよ?例文を考えてみれば一目瞭然ですね。
「私は車を修理してもらった」とは言いますが、「私は車に修理してもらった」とは言いませんよね?その違いだと思ってください。一見同じに見えるので、紛らわしいですね。そんなときの区別の仕方は簡単です。
haveの後ろの2つが「する」の関係なのか、「される」の関係なのかで区別してください。「する=原形」「される=PP」と覚えてください。
(例題)
I have my car ( ) by him.
①wash ②washing ③washed ④to wash
→では見ていきましょう。my carと「洗う」の関係は「車=洗われる」ですよね?よって「される」の関係にあるので③が正解になるというわけです。慣れていけばすぐに区別できるようになりますよ。
ここは高校生がちょっとつまずきやすい所ですね。特に学校などで何の説明もなく「これは付帯状況ね」という教えられ方をすると、全く意味が分からない単元になってしまいます。まずは言葉の説明からいきましょう。
付帯状況:付は「付く」、帯は「帯びる」でわかるように、「ある状況Aにある状況Bが、くっ付いて帯びているような状況」つまり簡単に言うなれば「同時進行」を表していると考えてください。
付帯状況の公式
・with O ~ing(Oが~している状態で)
・with O PP~(Oが~された状態で)
(例題)
Please sit down with your eyes ( ).
①close ②closing ③closed ④to close
さて、この中に当てはまるのはどれでしょうか?よくある間違いとしては「あなたの目を閉じている状態で」と考えて②を選択してしまうといったものですが、この付帯状況のwithにおいては「withの後ろの2つの関係」に注目してください。
そう、上述した「have O 原形~とhave O PP~の識別問題」とやっていることは全く同じなのです。隣同士の関係が「Oが~する」なら「~ing」、「Oが~される」なら「PP~」を選べばよいのです。
今回は「目=閉じられる」ものですからclosedにしなければなりません。つまり解答は③になります。目を「閉じている」のは「あなた」であって、目自体は「閉じられる」ものであるということをしっかり考慮してください。
高校1年生になって見慣れない形式の文法がたくさん出てきますが、その中でも特に不思議な形をしているものに「分詞構文」があります。では順を追ってみていきましょう。
(例文)
私が教室に入った時、私は彼が勉強をしているのが見えた。
When I entered the classroom, I saw him studying.
特に苦戦する文章ではありませんね?ではこの文の説明から始めます。 まずは2つだけ言葉を覚えましょう。この文にある「When」は2つの文をつなぐ「接続詞」であることは知っていますか?
英語においては「接続詞のくっついている方の文章を従属節」「接続詞のくっついていない方を主節」と呼んで区別します。ではこの従属節と主節をどのようにいじくっていけばよいのでしょうか?
★ステップ1
2つの文(従属節と主節)を見比べて、主語が同じ人・モノだったら従属節の主語を消す
★ステップ2
接続詞を消す。
★ステップ3
動詞の原形を~ingにする。
では実際にやってみましょう。 この2つの文にある「I」は同一人物ですから、左の「I」を消します。その次に接続詞の「When」も消します。そうなると残るのは「entered」ですが、この原形(enter)を~ingにすると、「entering」となります。これで分詞構文の出来上がりです。
Entering the classroom, I saw him studying.
分詞構文を作るのはそれほど難しいものではありません。しかし、分詞構文の難しいところは、「和訳問題」にあります。「~ing」で始まる文章は接続詞がない分、どのように訳していけばよいか迷ってしまいますよね。
実際、高校の授業では「時・条件・理由・・・・」などといろんな和訳の仕方を教えてくれますが、実際にはそれらはあまり暗記するべきものではありません。
だって考えてみてください。接続詞を入れれば誰もが理解できるはずなのに、なぜネイティブの人はわざわざ~ingで始めるというわかりにくいことをしたのでしょうか?それは「~ingにしておくから、適当に読む人の方でつないでくれ」という気持ちがあるからにほかなりません。
ですから、和訳の際に覚えておくべきことは「前の文と後の文でうまくつながるように訳す」だけでOKです。
上記の基本パターン以外に、分詞構文には応用パターンが存在します。例文に沿ってみていきましょう。
(例文)
私は宿題を終えてしまったので、外に行きたい。
Because I have finished my homework, I want to go out.
いつも通りのやり方で作業を進めていくと、主語が一致しているのでIを消します。接続詞Becauseを消します。そして、動詞のhaveをingにすると、
Having finished my homework, I want to go out.
となりますね?つまりここのポイントは「現在完了や未来完了の分詞構文はhaving PP~で始める」ということです。ではもう1パターンいきましょう。
(例文)
私はその少年のことを知らなかったので、彼に話しかけなかった。
Because I didn’t know the boy, I didn’t speak to him.
同じようにやっていくと、Iが消え、Becauseが消え、残ったものはdidn’t knowですが、分詞構文においては「否定文の分詞構文はnotやneverで始める」というポイントを確実に覚えてください。そうすると答えは、
Not knowing the boy, I didn’t speak to him.
となりますね。 もちろん、否定と完了を合わせた分詞構文もやり方は同じです、否定は「not/never ~ing」、完了は「having PP~」ですから、合わせると「Not/Never having PP~」となります。
(例文)
私はアメリカに行ったことが一度もないので、行ってみたい。
Because I have never been to America, I want to go there.
この文章も分詞構文にしてみると、
Never having been to America, I want to go there.
となりますよね?
いかがだったでしょうか?分詞構文はある意味では動名詞と通ずるところがありますので、同時に覚えていってくださいね。
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