一昔前だったら英語は「できたらすごい」と崇められたものですよね。
しかし、現代のグローバル社会においては、英語は「できたら確かにすごいけど、特別崇められるものではない」という位置にいるように感じられます。
楽天株式会社だって急に社内の公用語を英語にしたり、高校の英語の授業も英語で行うことが目標とされ、小学生の授業においても英語が必須化しており、その傾向は低年齢化にあるように見えますね。
では、そんな時代を生き抜くために、それぞれの時期にどのような勉強をしておくのが好ましいのでしょうか。今回は幼少期から社会人に至るまで、様々な年代に合わせた英語の勉強法をお伝えしていきましょう。
ステージ1:小学校入学前~小学生の時期は重要な入口
今では、どのショッピングセンターにも、またECCジュニアのような自宅を教室とした「幼児期から始める英語教室」の類が点在しております。
それだけニーズもあるということなのでしょう。以前だったら「小学生になる前に平仮名の読み書きはできるようにしておきたい」だったものが、「アルファベットと簡単な英会話表現は言えるくらいにしておきたい」に変化しているようです。
では、まだまだ幼いこの時期から小学生時代にかけて、どのような学び方をしておくのが最適なのでしょうか?
まず、小学校に入学する前の時期はやはり一般的に言われているように「音」に対する慣れを作っておきたいですね。母語の習得と同じで、言語のスピーキングやリスニングのスキルは、かなり小さい頃に形成されることが多いようです(もちろん諸説ありますが)。
ですので、言語を学ぶ重要な入り口と捉えて、「音」にたくさん触れさせてあげましょう。読み書きは後からでも十分に間に合いますが、聞き取り・発音はどうしたって後から習得しようとしても難しいものがあります。そういう意味では上述したような英語教室は幼児を対象に、「楽しく」そして「音や遊びを使って」英語に触れさせてくれる機会が増えることになるので、英語教育には適しているのではないでしょうか?
ただ、通わせて終わり、というのは避けておきたいですね。というのは、大人と同じで子供だって、やったことをずっと覚えているわけではありませんから、2~3日経たずして学習した内容を忘れてしまいます。そういう意味では「自宅での復習」が必要と言えるでしょう。
とはいえ、もちろんお母様・お父様が英語に対してほとんど無知というケースも多くあるでしょうから、そこは正直に先生に自宅での学習法を聞くのが良いでしょう。また、せっかくの機会ですから、自分も一緒になって学んでしまえば一石二鳥かもしれませんね。
このようにして小学生になる前に音に対して抵抗を拭い去っておけば、小学校に入ってからの英語教育がスムーズに行くかもしれません。小学生になったら、「これまで習った楽しい英語を読んだり書いたりしてみたい」という欲求も増してくるでしょうから、その欲求にこたえてあげてください。
単語を一緒に覚える(もちろんその際に音も重視してあげてください)、簡単な文の作り方を教える(その際、文法用語のような堅苦しいものは使わないようにしましょう)、それだけでしっかりした「英語の土台」が作り上げられます。
中学年・高学年になってきたら英検などを受けさせてみるのも良いのではないでしょうか?(もちろん早ければ早いほど良いのですが、焦っても楽しい気持ちがなくなるだけですからね)英検5級程度であれば、文法用語を使わなくても、「音」で楽しく覚え込ませることができますので、楽しく学びながら「合格した」という喜びを得させてあげるとモチベーションアップにもつながります。
学習が早い子は小学生のうちに英検4級や3級にもチャレンジしてみましょう。
ステージ2:中学生は「楽しむ時期」から「大人の英語」へ徐々に進化
さて、小学生で楽しく英語を学習してきた子供は、中学に入学していよいよ本格的に英語を学ぶことになります。
とはいえ、小学生である程度英語力を付けているのであれば、もう中学1年生くらいの英語はやや退屈に感じてしまうかもしれませんね。
しかし、中学の英語は「文法用語(be動詞と一般動詞、命令文、など)」がたくさん出てきます。つまりそれまでの「音で楽しむ英語」から「大人の英語」へと少しずつ進化していくのです。ただ、小学生のうちに基本的な英語に触れている子は、今までやってきた内容に文法用語という「名前」を付けて覚え直すだけの作業ですので、ほとんど苦労は伴わないはずです。
そして積極的にやってほしいのは「先取り学習」です。中学に入ると3年後の高校受験に備えなければなりませんから、英語の学習はいくら先まで学習しておいても良いくらいです。しっかり学習しておけば英検3級は中学1年~2年前半までに取得できるはずです。そうなったらいよいよ中学のうちに「準2級・2級」を目指しましょう。
ただ、そのくらいの級になってくると、単純に「単語→意味」という方式が成り立たなくなってきます。つまり「訳の日本語がどういう意味なのかが分からない」(=国語力)という状態が発生します。
そこは日本語ですから国語辞典を使うなどして、また新聞やニュースなどにたくさん触れるなどして国語力・社会力も同時に付けながら英語力(もっと言えば語彙力)を身に付けていきましょう。これが総合教育にもつながります。
このようにして準2級・2級レベルの英語力を中学のうちに付けておけば、高校に入る時も、目標の1つ上、2つ上の高校を目指すことができるようになります。そこまでの力が付けられないにしても、中学から英語を始めた子と比べると、大きな差を付けられることになっているでしょう。
ステージ3:高校生・大学生は「マルチな英語力」を目標に
学生としての最後のステージである高校そして大学になったら「より上のレベル」を追求してください。
高校生にとっての英語は決して「定期テストで点を取る」ためでも「大学入試に合格する」ためでもありませんし、大学生にとっての英語は「良い会社に入るため、単位を取るため」のものでもありません。
英語は言語なのですから、「社会という荒波の中に放り出された時にしっかり使える武器」でなくてはなりません。つまり日本の英語教育の弊害である「読み書き中心」に飲まれてはいけません。
この時期に求められるのは「マルチな英語力」なのです。社会に出た時にどのような形で英語を使うようになるか分からない以上は、マルチな英語力を付けておくのが最も効率的と言えます。
高校生の時には中学で学習した以上の英文法がたくさん出てきますが、これらは後のTOEICでも使えますし、大学入試にもたくさん出てきます。そして文法は疎かにされがちなセクションではありますが、「言葉の骨」とも言える重要なルールですから、疎かにせずにしっかり固めておきましょう。
そして、高校生のうちに出来る限りの語彙力を付けておきましょう。とはいっても大学に入らねばなりませんから、大学入試レベルの全レベルの単語を覚え込むつもりで3年間を過ごしてください。
1年生のうちからじっくり時間をかけて覚えていけば、1年半~2年で大学受験レベルの単語は覚えられるはずです。そのためにはとにかく反復練習をしましょう。もちろん「音」はここでも大事にしてください。そして単語を見た時に3~5秒で発音と意味が出てくるくらいの反射力を付けておきましょう。
大学に入学した後は、もう入試はありませんし、入社試験でそこまで難解な英語が問われることもありません。だからこそ気を抜く人が最も多くなる4年間なのですが、そういう時こそ自分だけはしっかりビジョンを持って勉強を続けてください。
大学入試に出てくる単語や文章と、この先に重要になってくる単語や文章は少しだけ毛色が異なってきます。つまり大学生以降は「より実用的」な単語・文章(ビジネスであれ生活であれ)が中心となってきます。そう考えると大学入試のために覚えてきた単語は意味がないようにも思えますが、持っていないよりは持っていた方が確実に知見は広まりますから、それまでに覚えてきた単語もしっかりキープしておいてくださいね。
また先ほど「マルチな英語力」と言いましたが、これについてもしっかり触れておきましょう。
高校・大学の時に最も疎かにされがちなのが「聞き取り・発話」です。センター試験で2006年からリスニングが導入されたとはいえ、これは問題形式が決まりきったものなので、対策さえ立てれば誰でも合格点は取れるように出来ています。
しかし、実際には様々な聞き取りがありますし、それに応じて場面に合った言葉を自分の口から出せるようにしなければなりません。そういったトレーニングをするためにはやはり「ネイティブ講師に話しかける」のが手っ取り早いでしょう。
高校にもALTの教師はいますし、大学に入ればそれとはくらべものにならないほどのネイティブ講師が在籍しているはずです。また、大学では自由に選択できる英語講座が開講されています。翻訳やコミュニケーションなど、様々な英語の授業を受講して、英語力を磨くようにしてください。
ステージ4:社会人は使用の仕方に応じた勉強を
さて、学生時代を終えて英語にある程度の自信を持てるようになったまま社会人になれたとしましょう。それであなたの英語教育は終わりなのでしょうか?いや、むしろ「やっとスタートに立てた」というのが正解でしょう。
ここまで学習してきたのはあくまで社会に出てから困らないようにするための英語力を付けるためのものであって、本当の意味で実戦で使うのはこれからなのです。
しかし、会社や配属先によってあなたが使う英語の種類も違うかもしれません。場合によっては「昇進の条件として会社からTOEICスコアで●●●以上取るようにと言われた」という人もいるでしょうし、「海外転勤を命じられて、来月からアメリカに行かなければならなくなった」という人もいるでしょう。
また「外資系企業のクライアントと契約を結ぶのに英語で契約書を作成せよと言われた」なんていうケースもあるかもしれません。それがどういう形の英語使用になるかは事前に予測することができませんし、それを見越して大学のうちから勉強をしておくなどということはまず不可能でしょう。(どのようなものになっても困らないようにするために大学までに英語力を付けてきてはいるので、途方に暮れるということはないでしょうが)
ですから、それぞれの状況に合わせて英語の勉強は継続しておくのが良いでしょう。もし入社した会社がTOEIC寄りであればその勉強をし続ける、実際の交渉で使う場面が多いようならビジネス会話を早くから身に付けておく、文書作成・文書読解が必要なケースが多いのであれば読み書きをブラッシュアップしておくなど、入社してからすぐに対処しておけば実際にその順番が自分に回ってきても怖いものはありません。
どの仕事にも勉強にも当てはまることですが、「先のシチュエーションをちょっとだけ予測して、先回りしておく」という習慣が出来ている人であれば、英語においても恐れるべきことは何もありません。
<最後に>
言語は一生付きまとうものです。途中で投げ出すということはできません。だからこそ小さい頃からコツコツ積み上げていきさえすれば、マスターできる確率はぐんとアップします。
途中で辛いことはたくさんあるかと思いますが、諦めずに前進していきましょう。
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2024/11/21 更新