国民年金保険料を支払えないと財産の差押えを受ける場合がある
国民年金の第1号被保険者になると、国民年金保険料の支払義務が発生します。国民健康保険料が払えない場合に、何らかの手続きをせず、支払わないまま放っておくと、役所から督促状が送られてきます。この督促状を無視した場合には、財産を差押えられて強制競売にかけられたりします。
また、未納期間が長くなると、万が一、障害の状態となったり、又は、一家の大黒柱が突然に亡くなった場合に、受給できることになっている障害年金や遺族年金を受けることができなくなる場合があります。
国民年金保険料の金額は平成26年度価額で15,250円です。年額にすると183,000円です。サラリーマンの方には大した金額ではないかもしれませんが、収入が不安定な自営業の方や、無職の方にとっては結構大きな金額になります。
4段階の免除制度について
国民年金保険料をどうしても払えない場合には、放っておくと財産を差押えられます。これを防ぐためには、免除制度を利用します。この免除制度には、免除を受けようとする者、その配偶者、その世帯主の所得の合計金額に応じて、4段階の制度が設けられています。
全額免除制度について
その第1は、全額免除制度です。全額免除制度を利用するためには、免除を申込んだ月が属する年の前年の本人・配偶者・世帯主の所得の合計が(扶養親族の数+1)×35万円+22万円以下の場合に利用できます。例えば、2人世帯の場合には前年の所得が92万円以下の場合には、この制度を利用できます。
この制度を利用した場合には、原則として申請した日が属する年から免除を受けることができます。ただし、申し出れば、申請月が属する年の7月まで又は前年の7月まで、遡って免除の適用を受けることができます。
さらには、平成26年4月からは、遡及できる期間が拡大し、所得要件を満たした場合には、過去2年1ヶ月まで遡って免除の適用を受けることが可能になりました。ですから、保険料の滞納による督促を受けた場合でも、免除申請により差押えを免れることができます。
全額免除制度の適用を受けると、まず、免除制度が適用される期間の保険料の支払は不要になります。ただし、将来の年金額の計算においては、きちんと保険料を納付した場合の1ヶ月の被保険者期間が年金額に反映される割合を1とすると、全額免除期間1ヶ月が年金額に反映される割合は、1/2となります。
その他の国民年金保険料の免除制度について
第2は、3/4免除制度です。この制度を利用できるのは、免除申請をした月の前年の本人・配偶者・世帯主の所得の合計額が78万+扶養親族の数×38万円以下であるものです。この制度を利用した場合、毎月支払うべき保険料は3,810円になります。ただし、将来受け取る年金額に反映される割合は、保険料をきちんと納めた期間の5/8となります。
第3は、1/2免除制度です。この制度を利用できるのは、免除申請をした月の前年の本人・配偶者・世帯主の所得の合計額が118万+扶養親族の数×38万円以下であるものです。この制度を利用した場合、毎月支払うべき保険料は7,630円になります。ただし、将来受け取る年金額に反映される割合は、保険料をきちんと納めた期間の6/8となります。
第4は、1/4免除制度です。この制度を利用できるのは、免除申請をした月の前年の本人・配偶者・世帯主の所得の合計額が158万+扶養親族の数×38万円以下であるものです。この制度を利用した場合、毎月支払うべき保険料は11,440円になります。ただし、将来受け取る年金額に反映される割合は、保険料をきちんと納めた期間の7/8となります。
国民年金保険料の免除分の追納について
なお、国民年金保険料の免除制度を受けた場合には、将来受け取ることができる年金額は少なくなります。しかし、過去2年以内に限り、免除された保険料を過去に遡って納める(追納する)ことができます。なお、この過去に遡って保険料を納めることができる期間は、平成27年9月までの間に限り、10年間に拡大されております。
免除申請を受けても、経済状況が好転して国民保険料を支払う余裕が生じた場合には、この制度を利用すれば免除制度の利用に伴う年金額の目減りをできるだけ少なくすることができます。
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2024/10/06 更新