前中国大使であられた方が書かれた「人を育てよ」という本を読ませていただきました。副題に「人こそ最大の資産、教育なくして成長なし」と書かれている。もっともな事であると感じました。「日本を救う、唯一の処方箋」とも帯文に書かれていました。
その中で目に留まった文章がありますので紹介いたします。
幼少期は自分で自分をコントロールすることを知りません。だから自分の思い通りにならないと泣き叫び暴れまわったりするわけです。太郎ちゃんが砂場で遊んでいるのを見て、自分も遊びたいから太郎ちゃんを追い出す。こんなことも平気でやってしまいます。まだまだ動物の血が強いからです。
さて、ここでは「いじめの発端」が述べられています。そこで親に叱られ、自分は怒られるようなことをしたのだと気づき、「太郎ちゃんごめんね」という事を学びます。
こうして社会性を身に付けていきます。「それが家庭での教育であり、子どもの成長に大きく左右します。」とも書いてあります。
次に「お尻を叩け」という章があります。
動物の血が強い子どもの頃は痛みを伴う教育も必要です。時には殴られて痛い思いをしなければわからない。私自身、小学六年生の頃、親父にぶん殴られたことがありました。最近の親は子どもを殴ることを良しとしません。ちょっと誰かに叩かれたりしたら大騒ぎです
とあり、教師や学校に怒鳴り込む、相手に家に押しかける、自分の子どもは悪くないと言い張る、「先に手を出したほうが悪い」体罰だ虐待だと騒ぎ立てる、ということが書かれています。
ここで大切なことは「私自身、親父にぶん殴られたことがあります」という点です。多くの親、特に50~60歳以上の方の殆どは、「昔はいじめなど当たり前だった。軍隊では毎日だ。先輩から、親からみんなにいじめられた。今の子は弱いからいじめられるのだ、いじめ返してこい」などと子どもを叱る親もいます。
しかし今日の「いじめ」はむかしのいじめとは違います。教育関係者をはじめ、多くの人々が、こう指摘します。これまでに公表されてきた多くの「いじめ論」で見受けられていることは「いじめを一緒くた」にせず、分析をしていることです。それらを示してみます。
日常化、ゲーム化、集団化、構造化、巧妙化、陰湿化、長期化、正当化、などに分析されます。
このように見ただけでも「いじめられて強くなる、いじめ返してこい、ぶん殴ってやれ」などと励ましたつもりでも、そんなに簡単にできることではないのです。「いじめ」が日常化すれば、当の本人も、またそれを容認したり、同調したりしている周囲の者も、次第に罪悪感や道徳心を希薄化させるようになっていきます。人間の持っている悲しい性です。
いつしか遊びとして、気晴らしとして、ゲームを楽しむかのような「長期的な、陰湿ないじめ」へと移行し、「いじめ」の手口も方法も巧妙化し、多様化していきます。親が励ましたつもりでも、当の子どもは追い詰められていってしまうのです。
早い段階で判明したら、学校や相談機関に相談するのがよいでしょう。
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2024/11/20 更新