[家庭のこと]【子育てテクニック】お母さんが使えるカウンセラーの技法

【子育てテクニック】お母さんが使えるカウンセラーの技法

2014/01/06

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無意識に親が子どもにかけてしまう言葉

「それくらいで泣かない!」
「痛くない、痛くない」
「痒くない!痒くない!」
「怒ってはダメ!」
 
私はこれらの言葉はすべてよくないと思っています。“心にトラブルを抱えた時、友達に相談しても「そんなことないよ」「思い込みが激しいんだよ」「これからはきっと良いことがあるよ」と励ましてくれるが何の解決もしない”こんな経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。精神科や心療内科に行くと真逆のことを言われます。

 
 「そう、辛いんですね」
 「お先真っ暗と思ってしまうんですね」
 
カウンセラーの技術で一番大事なことは患者に寄り添うこと、共感することです。

まずこれがなければ患者は「やっぱり心の専門家の先生も私の気持ちなんかちっともわかってくれない」と感じ信頼関係は築かれず、治療をスタートすることさえ出来ません。精神科医、カウンセラー失格です。
 
鬱病の人にかけてはならないNGワードです。自殺の引き金になる言葉です。
 
×元気を出して
×頑張って
×世の中にはあなたよりもっと困っている人がいるのよ
×誰でも落ち込むことはある
 
カウンセラーは自分の価値観を押し付けずあくまでも相手の身になって話をします。それもただ黙って頷いたり「はい、はい」「うん、うん」と相槌を打つだけでは不十分、能動的聞き方・傾聴しなくてはなりません。

これは子育てでも同じことです。カウンセラーの技法を応用しましょう。

転べば痛い、友達に叩かれて悲しければ泣く、暗闇に行けばおびえる、アトピーで痒ければ掻く、大人にとっては些細な事でも子どもには一大事なのです。親は強い子になってほしいという思いがあり頭ごなしにまず感情を否定してしまいます。

でも感情による自然現象なので、なくすことは絶対に不可能。更に幼児期に自然に湧き起こる感情を我慢したり、排除するなど感情を押し殺すクセをつけると思春期以降、心に歪みが生じます。
  
泣きやませようとして励ましたり、菓子を与えるなどして気をそらせたりしないで、ただ共感し、落ち着くまで見守りましょう。
 

例えば朝、子どもを幼稚園に送り出そうとした時、次のように我が子が言ったらあなたはなんと返しますか?
 
子ども「幼稚園に行きたくない」と駄々をこねています。

●「どうして行きたくないの、誰かに苛めら れているの」の追求型
●「頑張って行こうよ」の説得型
●「お友達だって行っているのよ。太郎だけ行かないなんてダメよ」の脅迫型
●「○○先生のことが嫌なのね、今度 保護者会で言っておいてあげるから」の同情型

すべてNGです。

“『の』の効用”という言葉があります。子どもが発した言葉の末尾に『の』を付けてみましょう。

「そう、幼稚園行きたくないの」と言うのです。これは魔法の言葉、子どもは大好きなお母さんに自分の気持ちを分かってもらえて安心します。まず寄り添ってやりましょう。他にもざっとこんな感じです。
 

これ食べたくない!
×食べないと駄目!
○食べたくないの
 
行きたくない!
×行かないと駄目!
○行きたくないの
 
家出をする!
×ダメ!
×そんなこと言ってママを困らせる気!
○悲しいけど、気を付けて行ってきてね

私はある日、スーパーに夕飯の買い物に行きました。その時、生徒の親子に出会いました。その子どもは授業中も態度が悪く落ち着きのない子どもでした。スーパーでも全く同じ。大騒ぎして走り回っています。

お母さんは目の下にくまを作って子育てに疲れ切った様子。「もう育てられないよ」の湯気をムンムンと出しながら暴れる子どもを追いかけ怒り狂っています。
 
目が合ってしまいました。バツが悪い状況。お母さんは気を取り直す暇もなく私の顔を見るなり「ああ、立石先生、こんにちは・・・私、もうこの子ここに置き去りにしたくなっちゃうんですよ」と呟きました。

私は自分が先生であることを忘れて「そうですよね。本当に落ち着きなくガサガサしていますよね。置き去りにしたくなっちゃいますよね。気持ちよくわかります」と口から出てしまいました。

でも一度出てしまった言葉はもう消すことが出来ません。「しまった・・・」と思ってその母親の顔を恐る恐る見上げました。

するとお母さんの顔が晴れ晴れしています。涙目の笑顔で「先生!ありがとうございます。わかってくれて。そんな風に言ってくれた人初めてです」と逆に感謝されてしまいました。

謝ろうと思っていた私は拍子抜けです。

その後、私は老人の話し相手になる“傾聴ボランティア”の研修を受ける機会に恵まれました。全10回のコース、講義だけでなくロールプレイにより実践を通して身につけて行くというものです。

その時、散々言われた「悪い話の聞き方」が下記、

×黙って相手の話を聞く

×「うん、うん」「はい、はい」とただ言うだけ

×相手の話を全部聞くことなく教訓めいたことを言う、否定する、話の腰を折る

これに対して良い聞き方は下記、

○相手の話を全部、聞き終わった後、相手の言った言葉をそのままオウム返しで返す

これで相手は自分の話をわかってくれたと思います。 

阿川佐和子さんの「聞く力」の本によると「うん、気持ちよくわかります」もすぐに言ってしまうと嫌みタラタラ「なんだ~わかっている振りして」と相手に思われるそうです。

私も「私があなたの立場だったらきっと同じように思います」とわざとらしく言われて「あんたに私の気持ちの何がわかるのよ!」とブチ切れてしまったことがあります。だから安易にこれも使えません。

オウム返しするタイミング秒数も大事。直ぐに言ってもNG、時間を置きすぎてもこれまた駄目、余計な一言も却ってよくない、ということ、微妙な間が大事なんです。

なかなかハードルは高いですが意識して子育てに応用してくださいね。

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