教育費は、幼稚園から高校まで、全て私立だと1700万円、公立だと630万円と、公私でかかるお金に違いがあります(文部科学省 平成26年度「子供の学習費調査」より)。
今回は、小学校就学前の幼稚園や保育園にかかるお金のうち、幼稚園にかかるお金について公立と私立の違いを解説していきます。
■私立の学費は授業料と入園金が高い
文部科学省の平成26年度の子供の学習費調査では、幼稚園にかかる年間学習費総額は、公立で約22万2千円、私立で約49万8千円となっています。
この中で、授業料、制服、通園費用を合わせた学校教育費は約12万、私立は32万円で、そのうち授業料は公立が6万4千円、私立が20万9千円と、開きが大きくなっています。
検定料、入園金、施設整備資金、PTA会費等の学校納付金が、公立は1万円、私立は4.4万円と約4倍となっています。制服、交通費、学童用品購入費を合わせた通学関係費が、公立は2.3万円、私立は3.6万円と、こちらはさほど大きな差ではありません。
■実際は就園支援金により公私格差は縮小
保護者の負担が大きい授業料、入園金について、国や自治体から私立幼稚園の園児や保護者に対して「就園支援金」が給付されます。
所得や兄弟数によって金額が違い、年間20万円から30万円ほどとなっています。また私立幼稚園の月謝は、地域によってまちまちなため、補助金の額もまちまちとなっています。
しかし、私立と公立の格差是正のため、第1子は公立幼稚園の月5千円程度になるよう補助金が支給されています。また、第2子、第3子も公立幼稚園に通った場合と同様になるくらいの補助金が出ています。
第2子、第3子は自治体によって無料になるところもあるので、幼稚園の支援金も多くなります。
また、兄弟で3番目の子でも、第1子が小学校高学年であれば第2子扱いになり、幼稚園が無料ではなかったということもありますので、兄弟姉妹構成、親の所得等の要件を確認する必要があります。詳しくは自治体のHPや幼稚園からの配布資料を参照するとよいでしょう。
■幼稚園は、公立より私立の方が多い
文部科学省の平成26年度学校基本調査によると、幼稚園数は約13万で、うち私立は8千と、全体の約63%を私立園が占めています。
在園児は総勢155万人で、私立在園児は128万人と、幼稚園に通う子供のうち私立幼稚園に通う子供が82%と大多数を占めています。
小学校の私立占有率が1.1%であることに比べ、幼稚園は私立が多いことがわかります。公立の幼稚園に入園できず、私立幼稚園に通う家庭も多いのです。そのため、自治体が、私立幼稚園に通う家庭に就園支援金を出すことで公私の格差是正に努めているのです。
この就園支援金は政府や自治体で単年度ごとの予算で決められるので、支援金の額は毎年若干の変更があります。また、この支援金をなくされないよう、またその額を増やすために幼稚園のPTA連合会は毎年署名活動をしています。
■現状の負担感は?
私立幼稚園の補助金は、1学期に申請して(幼稚園経由で全員申請します)秋から冬にかけて支払われます。それまで授業料は家庭で負担しなければいけないので、負担感はあります。
幼稚園の月謝引き落とし口座を作り、初年度は11月分までを入れておき、補助金もその口座に入金してもらえば補助金受領後は負担感が軽くなります。一方、支援金を受け取っても、その後の教育費のために貯蓄するという考え方もあります。
いかがでしたか?幼稚園に関しては、私立幼稚園は一部の人が行くところではなく、公私の格差もあまりないということがおわかりいただけるのではないでしょうか。
但し、有名私立学校の付属であるとか、その幼稚園に通わせるのがステータスであるようなそういった幼稚園はまた別です。そういった特別な幼稚園でなく、地域に昔から根付いている幼稚園なども、厳しいしつけや、野外活動重視など各園で教育に特色があります。
さほど授業料を気にしなくとも公立とはまた違う教育を受けられますので、入園を検討してみるのもよいかもしれません。
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2024/11/10 更新