雇用保険から助成金は、原則として事業主(会社の経営者)に支給されますが、事業主であれば誰でも助成金を受けることができるというわけではありません。助成金を受けるためには、事業主が一定の条件を満たしている必要があります。
雇用保険の適用事業主であること
以下では、この助成金を受けることができる事業主の要件について考えていきます。まず、助成金を受けることができる事業主は、雇用保険の適用事業主でなくてはなりません。
雇用保険からの助成金は、雇用保険適用事業主が支払った保険料で賄われています。ですから、雇用保険からの助成金を受けることができる事業主は、まず雇用保険の適用事業主でなくてはなりません。
定められた申請期間内に申請すること
次に、雇用保険の助成金には、申請期間があります。一部を除いて、助成金の申請期間は申請が可能となった時から2ヵ月以内となっています。申請期限を過ぎますと、助成金は受けることができません。ですから、助成金の受給ができる事業主は、期間内に申請を行う事業主となります。
審査期間の審査に協力的であること
また、雇用保険からの助成金を申請すると、ハローワークや独立行政法人高齢・障害求職者支援機構から審査のための調査が入ります。雇用保険からの助成金を受けることができる事業主であるためには、これらの審査期間に協力的である事業主である必要があります。
なお、審査機関は、助成金支給の審査に当たり、必要な書類の提出を求めたり、実地調査を行ったり、必要書類の保管を命じたりします。雇用保険からの助成金を受けるためには、これらの審査機関が行う調査等に協力する必要があります。
なお、以上のような条件を満たしているとしても、次に掲げる事業主は、雇用保険からの助成金を受けることができません。それは、
①支給申請日から遡った過去3年以内に、雇用保険からの助成金を不正受給した事業主
②支給申請した日が属する年度の前々年度に労働保険料の未納があった事業所
③支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
④性風俗関連営業、接待を行う飲食等営業、またはこれらの営業の一部をを受託して営業を行う事業主
⑤暴力団と関わりのある事業主
⑥支給申請日や支給決定日において倒産している事業主
⑦不正受給を理由に支給決定を取り消された場合に、都道府県労働局が事業主名を公表することについて、同意していない事業主
です。これらの①~⑦に該当する事業主は、雇用保険の適用事業主であり、支給期間内に申請を行い、かつ、審査期間の審査に協力的であったとしても、雇用保険からの助成金は受給することはできません。
助成金の受給を考える際には基本的な要件のチェックを
雇用保険からの助成金は、適用事業主からの貴重な保険料を財源としています。よって、過去に不正受給を行ったり、事業主や暴力団と関係があるなど反社会的な事業主などは、助成金を受けることができません。
雇用保険からの助成金の受給を考える際には、細かい条件を考える前に、過去に法令違反がなかったかだとか、保険料をちゃんと支払っていたかだとか、そういった基本的な部分がまず問われます。ですから、こういった要件は最初に考慮しなくてはいけません。