介護保険から受けることのできるサービスは、主として在宅でのサービスと、被保険者を施設に入所させてのサービスとがあります。在宅でのサービスとしては、訪問系サービスと通所系のサービスがあります。
訪問系のサービスとは、訪問看護や訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護・看護があります。代表的なものは、ヘルパーさんが週に何回か介護が必要な被保険者宅を訪問し、一定の時間、身体の介護などを行うというようなものです。
この訪問系サービスの利用料金の例としては、ヘルパーさんが被保険者宅を訪問して身体の介護などを行う場合、4,020円/時間となります。被保険者負担は総額の10%ですから、402円/時間となります。
在宅系のサービスにはもう一つ通所系サービスがあります。通所系サービスとしては、通所介護(デイーサービスの利用)、通所リハビリテーション等があります。利用料金は、デーサービスで1日中お預かりをする場合、要介護度3の方で9,370円となります。(被保険者負担額は937円です。)
次に、施設系のサービスについては、短期滞在系サービス、居住系サービス、入所系サービスがあります。いずれも、在宅での介護ではなく、施設に入所しての介護となります。
まず、短期滞在系サービスとは、1週間程度の短期間、介護が必要な被保険者を施設に入所させて、介護を行うものです。ショートステイが代表格です。利用料金は、要介護度3の方で、8,220円/日です。(利用者負担額は822円/日です。)ですから、1週間ショートステイで預かった場合の利用者負担額は5,754円となります。
次の、施設系サービスとしては、特定施設入居者生活介護や認知症共同生活介護などがあります。介護が必要な被保険者を施設に預かって介護するのですが、比較的介護の必要性が低い方の場合に該当するサービスです。
利用料については、例えば、要介護度3の方が有料老人ホーム等に入所する場合には、7,000円/日となります。そして、利用者が負担する額は、その10%ですから700円/日です。1ヶ月入所した場合の利用者負担額は約21,000円となります。
施設系サービスの最後は、入所系サービスです。入所系サービスとは、介護老人福祉施設や介護老人保健施設に入所させて、介護が必要な被保険者を介護するサービスです。重度の認知症の高齢者など、介護を必要とする割合が高い方が受けることの多いサービスです。
このサービスの利用料金は、例えば、要介護度3の方が介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所して介護を受けるというサービスを受けた場合、8,200円/日(利用者負担分820円/日)の費用がかかります。ですから、1ヶ月の費用は利用者負担分で約24,600円となります。
このように、介護保険を利用すれば、重度の認知症の高齢者の方が老人介護施設に入所して介護サービスを受けたとしても、利用者が支払う費用は1ヶ月当たり20,000円~25,000円程度で済むことになります。全額自己負担とすると200,000円~250,000円となりますから、大変な金額です。
ですから、介護保険の導入により、非常に安価な料金で、十分な介護サービスを受けることができることになったのです。このような制度は、医療については相当前から実施されていましたが、この仕組みを介護サービスにも実施するようにしたのが介護保険制度の核心であります。
なお、介護サービスの利用料に関しては、各市町村やサービスの実施主体により異なります。上で表示した金額はおおよその目安です。実際の料金につきましては、お住まいの自治体やサービス提供主体にお問い合わせください。
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