介護保険は、被保険者が保険料を支払い、そして、被保険者が介護サービスを受けた際に、保険者から保険給付を受けるという仕組みで成り立っています。以下では、この仕組みについて述べていきます。
まず、保険料の支払についてです。介護保険の被保険者には、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者の第2号被保険者の2種類があります。
まず、第1号被保険者の保険料の支払は、年金額が18万円以上の方に関しては、2ヶ月に1回の年金の支払いの際に年金から天引きされることで支払われます。なお、年金の金額が18万円未満の方や無年金の方に関しては、市町村役場から送付される納付書により支払われます。
第1号被保険者の保険料率は保険者である各市町村が定めます。そのため各市町村によってばらつきはありますが、だいたい年額30,000円~35,000円程度の金額になります。1月当たりに換算しますと2,500円~4,600円程度となります。
一方、第2号被保険者の保険料の支払は、ご本人が加入している医療保険の保険料といっしょに介護保険料が支払われます。例えば、東京都にある会社に勤務していて健康保険に加入されている方ですと、平成26年9月分以降の介護保険第2号被保険者(40歳以上65歳未満の方)の健康保険料率は11.69%、それ以外の方の健康保険料率は9.97%です。
ですから、例えば、標準報酬月額が300,000円としますと、介護第2号被保険者の方の健康保険料は35,070円です。それ以外の方の健康保険料は29,910円です。ですから、介護保険第2号被保険者の健康保険料がそれ以外の健康保険料より5,160円(率にして1.72%です。)高くなります。この金額が介護保険料に該当します。
このように、第2号被保険者の保険料は、医療保険を支払う際にその保険料に含ませて支払うことになります。なお、健康保険料の場合には、保険料の1/2は事業主が負担しますから、実際に被保険者が負担する金額は上記の金額の50%となります。
さて、被保険者が介護サービスを受けた場合、その介護サービスの供給主体に対しては、そのかかった費用の1割を支払えば済みます。残りの9割については、介護保険の給付として保険者(市町村)が支払います。
例えば、80歳になる第1号被保険者がデイサービスを週2回1ヶ月で8回利用したとして、月額80,000円の費用が発生したとします。しかし、利用者である第1号被保険者は、デイサービスの運営主体に8,000円のみ支払うことになります。
残りの72,000円については、保険給付として市町村がデイサービスの運営主体に支払います。病院にかかった時、実際に窓口に支払う金額は治療などに必要な費用の総額の2割から3割で、残りは医療保険から支払われますが、介護についてもこれと同じ仕組みが適用されるということです。
各被保険者が支払った保険料は、被保険者が介護サービスを利用した際に保険者から支払われる保険給付の財源となります。そして、保険給付の財源は、被保険者が支払った保険料で50%が賄われます。そして、残りの50%は税金により賄われます。
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