近年、夏になると各地で被害が報告されている集中豪雨。毎年の被害を見ると、一過性のものとは考えづらくなっています。
集中豪雨の特徴は短時間に多くの雨が降るということです。もともと雨の多い気候である日本、雨量については想定範囲なのですが、時間あたりの雨量に対して都市インフラや宅地造成の規制が対応できていないようです。
集中豪雨によってもたらされる被害として、マンホールの蓋が溢れた雨水で持ち上がったり、住宅地の斜面や河川沿いが崩れている様子がニュースの映像で見受けられます。
この現実は設計者にしてみると設計条件が変わったと捉えます。例えば、屋根の先端に取り付けられ、雨水を処理する樋。負担屋根の大きさによってその口径が決められるのですが、集中豪雨の際にはその想定を大きく超え、横樋から直接水が流れ落ちています。さらには屋根の勾配や壁との納まりなど、雨水の侵入を防ぐ為の工夫の見直しに迫られています。
これらは設計業務の専門的な範囲でできる対応です。
それでは一般的にできる対応というのはどういったものでしょうか。
住宅地を歩いていて見かける多くの家は、駐車場や玄関ポーチ付近はもちろんのこと、極端な場合は、敷地内の地面を全てコンクリートで舗装してしまっています。雑草が生えたり、靴が泥で汚れるのを嫌うあまりこのような外構計画になっているのだと思います。
日本の住宅地はほぼ全ての道がアスファルトで舗装されているため、このように住宅敷地内まで舗装されてしまうと雨水が自然に浸潤していく地面がなくなってしまいます。
つまりは雨水を処理する枡や道路の側溝にすべての雨水が流入するということです。これではいくら立派な排水インフラを整備したところで、まかなえるものではないでしょう。集中豪雨でマンホールの蓋が浮いているのは、気候変動のせいではなく、人々の意識が変わってしまったからであるともいえるのです。
これから家づくりを計画されている方は、少しでも土の地面を露出するように心がけてください。そのような意識が結果的には、町を自然災害から守るということにつながると思います。