住宅[373]

知っておきたいマンション特有のリスク

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執筆者:亀田 泰行
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【その1:騒音問題】
マンションでの生活を考える時、トラブルの一番の原因に挙げられるのが騒音です。
共同住宅であるマンションは、生活習慣や家族構成などが違う様々な方が入居します。
 
一般的に騒音となりやすい生活音は、お子さんの足音や飛び跳ねる音、椅子をひく音、テレビの音などです。また、深夜であれば相対的に周囲の生活音が低くなるため、(暗騒音が低くなる)掃除や洗濯など、日中では気にならない音が騒音になる場合もあります。
 
なお、騒音問題はよく感情の問題ともいわれます。例えば、ご自身の孫や家族が出す音であれば、そんなに気にしないものですが他人の出す音には敏感になるものです。
 
そのため、騒音トラブルになるリスクを少しでも減らすためには、同じような世帯の住むマンションを選ぶのが良いでしょう。部屋の上下左右が似たような世帯であれば、同じような生活習慣ですし、お子様が発生する騒音もお互い様のため問題にならない可能性が高いです。
 
なお、ピアノなど楽器演奏や、オーディオによる音楽鑑賞の騒音もありますが、これらは管理規約に時間などの制限が設けてある場合が多いです。
 
・床構造
最近のマンションは床スラブ厚(コンクリートの厚さ)が200ミリ以上あり、ボイドスラブなど特殊な構造の場合は300ミリなどが採用されています。しかし、10年前であれば180ミリ、その前は150ミリというのもざらでした。
 
そう考えると構造耐力的には150ミリでも十分な床を、防音性能を上げるため200ミリまで厚くしているとも考えられます。それほど騒音問題は深刻な問題として認識されているのです。(厚くする事で、騒音対策以外に揺れや振動も少なくしています)
 
ここで現在使用されている床の構造について簡単にお話します。
一つはコンクリートの上にシステムの床下地を組み、そこで防音措置をしている『二重床』構造です。二つ目はコンクリートの上に直接仕上げ材を貼る『直床』構造で、仕上げのフローリング材の裏側にはクッション材が貼り付けられています。
 
これらを比較した場合、どちらの防音性能が高いかは、その間取りや床の支配面積※などの条件によって異なるため、簡単に優劣をつけられませんが、歩行感※や将来の可変性を考えると二重床の方が有利です。
 
※支配面積・・・梁など構造部材で囲まれた床の面積で、通常は設計時に25㎡以下にするなど配慮がされています。また、梁のスパン(長さ)を広げすぎない事も有効です。
 
※歩行感・・・直床式の場合クッションが効いているため、ふかふかした感覚があります。ただし、これはご年配の方にとって膝に優しいというメリットもあります。
 
なお、騒音問題と床の仕上げ材には大きな関係があります。その昔、私がゼネコンに勤め始めた平成3年頃は、フローリング仕上げはほとんどありませんでした。分譲マンションでも各居室はカーペット仕上げで、和室は畳が主流です。そのため今ほど音に敏感になる事もなかったと思います。
 
・リフォームの注意
現在でも古いマンションでは、リフォームの際にフローリングへの変更が禁止されている場合があります。
中古マンションを購入してリフォームをする場合、契約後に希望していたフローリングが使えないと気が付いても、時すでに遅しです。このようなご希望がある場合は事前に確認するなど注意しましょう。

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