築年数が古い建物では、「急で危険な階段」をリフォームされたいというご意見が多いですね。
「急な階段」をリフォームするには、既存階段の撤去・入替えの他に、階段部分の拡張に伴う上部階の床の開口部分を広げる作業などを行います。「ゆるやかで安全な階段」にするのは簡単ではありません。
木造の住宅であれば「ゆるやかな階段」へ改修することは比較的容易ではありますが、鉄筋コンクリート造(以下:RC造)や鉄骨造(以下:S造)の建物では、主要構造部は構造計算に基づいて造られており、主要構造部である床や階段のリフォームも構造計算を行って問題のないことを確認しなければなりません。
リフォーム時に確認申請時の構造計算書が存在すれば計算の再検討で済むのですが・・・なかなか難しいのが現状です。残念ながら、様々な制約があり、「急な階段」のリフォームを断念することも多いです。
建築基準法では、階段の踏み面は【15㎝以上】、蹴上(段差)は【23㎝以下】となっていますが、今どきの階段は、踏み面は段鼻(蹴上面から突き出た部分)も入れて【25㎝】は欲しいところですし、蹴上も【20㎝以下】になるように段数を調整するようにしています。そして、不特定多数の人が利用する特殊建築物に関しては、更に余裕を持った寸法が要求されるのです。
下記の写真は、RC造の建物のリフォーム前の階段で、踏み面は【18㎝】、蹴上(段差)は【22㎝】、段鼻も無し。実際に見るとハシゴみたいな急な階段でした。