現在あるものを直し、または少し形を変えて住宅を再利用するリフォーム工事。
キッチンやユニットバスを交換したり壁紙を張り替えるだけの簡単な工事もありますが、今回は増改築まで含んだリフォーム工事の費用について考えてみたいと思います。
更地に新しく造る新築工事と違って、リフォーム工事では計画の初期段階で、使える部分と直すべき部分とを明確に分け、予算を配分することがとても大事です。
当然、躯体部分の耐震補強や屋根などの防水補修が最も先行されるべき工事であり、壁や開口部などの断熱改修も優先させるべきです。壁や床などの仕上げを新しくすれば、表面上はきれいになったように見えますが、まずは建物の根本部分をしっかりと造り直すことを考えましょう。
それらの補強工事と並行して間取りの変更内容を決めればバランスのとれた計画となるでしょう。
それから仕上げの変更を考えましょう。
機器や仕上げを変えることで副次的な効果が得られることもあります。
タイル張りのお風呂を新しくユニットバスにすればシロアリ対策にもなり、壁に新しく左官材料をぬれば調湿効果も期待できます。
また、不測の事態が発生し易いリフォーム工事は計画の段階で予算ギリギリにしてしまわず、予備の予算を残しておく事が大事です。万が一、工事見積りの範囲で対応できない事態が発生した時に備えるのです。
そのような予算の組み方を施工者に伝えておけば、提出される見積もりも、不慮のケースを見込み過ぎた高額の見積もりにならず、施主と施工者の両者にとってフェアな工事金額になります。
利害関係のない設計者が施主と施工者を取り持ち、公平な施工金額に調整することはリフォーム工事で必要とされる職能です。
中古住宅付きの土地を購入し、その家族の生活スタイルに沿うように直して住み続ける事は、新築に比べて工事による環境負荷の軽減になります。そして、リフォームをする時はすべてを綺麗に化粧し直してしまうのではなく、必要な部分だけ手を入れるように心掛けましょう。
そうすれば、ヨーロッパの街並みのような建材の経年変化による景色の「深み」が日本の住宅地にも備わり、新しい家ばかりの新興住宅地よりも魅力的な街になります。