世の中には中古のものが沢山あります。古着や車などはその典型例でしょう。反面、中古であることが嫌われるものも沢山あります。食品などが先ずあげられますが、家もその部類に入ると思われます。
その嫌われる理由、それは「得体のしれないもの」であるからかもしれません。洋服は見た目そのままなので恐怖を感じる人は少ないでしょう。車もこれだけ性能が担保されている製品なので中古品でも安心できるのでしょう。車やバイクの好きな人ならなおさら中身がわかるので、自分の気にいったものに冒険した購買ができるはずです。食べ物であったとしても、それが親類や気心の知れた隣人からのおすそ分けであれば喜んでいただけることでしょう。つまりは中古の家もそのように「得体の知れた」存在であれば、もっと身近なものになるかもしれません。
国土交通省は現在「長期優良住宅制度」を強力に推進しています。補助金の予算を組んだり、銀行ローンの金利優遇条件としても一般的になってきました。それは住宅を長期に優良なものとして使用できる仕様とし、新築住宅が中古住宅になった時の価値を性能面で第三者にはっきりとわかるようにするという制度なのです。そしてこの制度には中古住宅の市場を活性化させようという政策の方向性を感じます。ころころと変わる国の政策のなかでも長期優良住宅制度には本気で取り組んでいるようです。
新築住宅産業は国内主要産業の中でとても大きな割合を占めており、その規模変動は国の経済力に多大な影響を及ぼします。それでも政府はこのような舵取りをしています。今後は、建っているものを壊し、新しく建てた家のローンを長い年月かけて返していくといった人生プランだけが選択肢ではなくなるでしょう。画一的に家を買う事を人生の目的とするのではなく、各個人がそれぞれに心豊かになれるものにお金を使い、それが国全体の経済を活性化するようになれば日本はもっと面白い国になります。