子育て本を読むと「子どもに対しては否定形の言葉を使わないようにしましょう」とよく書かれています。でもなんの根拠があるのでしょう。それは脳が否定形を理解できないからです。
そこで今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子が具体的にお伝えしたいと思います。
●食卓に上ってはいけません
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食べ物を乗せるところ。テーブルから降りようね
●電車内で大声で騒いではいけません
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電車内では小さな声でお話ししよう
●廊下を走ってはいけません
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廊下は歩きましょう
●好き嫌いをしてはいけません
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出されたものは全部食べよう
●手を使って食べてはいけません
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スプーン、フォークを使おうね
●音を立てて食べてはだめよ
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お口を閉じてもぐもぐして食べようね
●散らかしてはいけません
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元あった位置に戻そう
●絵本を踏んだらいけません
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絵本は手に持って読もうね
●お友達を叩いてはいけません
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玩具を貸してほしいときは「貸して」と言おうね
●ドアをバタンと音を立てて閉めないで
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カチャンと小さな音で閉めようね
●レストランでは騒がないで
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レストランでは静かにしていよう
●遅刻しないように早く準備しなさい
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時刻に間に合うように準備しよう
●泣いてはダメ
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笑うようにしよう
最近のトイレの貼り紙で気が付いたことはありませんか。 “汚く使うな”と命令口調で書いてあることはありません。駅のトイレなどたいてい「いつも綺麗に使っていただいてありがとうございます」と書いてあります。
これは「汚く使うな」と言われると「汚く使うこと」が印象に残ってしまうので否定形が使われていないのです。
更に性悪説でまだ用を足していないうちから「きっと汚く使うに違いない」と決めつけられると不快な気持ちになり却って「綺麗になんか使ってやるもんか!」と思ってしまいます。
(C)あべゆみこ
でも、「きっとこの人は汚さない人だろう」という前提の性善説で「○○してくれてありがとうございます」なんて書かれていると、「綺麗に使おう。次の人のために紙を補充して、先っぽも三角に折っておこうかな」とまで思うものです。
”脳は否定形を理解できない“と言われています。
「絶対に頭がマヨネーズまみれになったおじさんを思い出してはいけません」と言われると不思議と振り払っても振り払ってもマヨネーズおじさんが脳裏に浮かびます。
「牛乳を零さないように歩きなさい」と言われると“牛乳を零す”ことが脳に焼き付き零してしまったり、「この床に書かれた一本の線の上を踏み外さないように歩きなさい」と言われると“踏み外す”ことに囚われて、実際に高さがある平均台でもないのにヨロヨロしたりします。「○○しない」という否定の部分が理解できないのです。
あのプロゴルファーのタイガーウッズだって「失敗しないようにボールを打とう」とは思わないようにしているそうです。失敗することに脳は囚われて本当に失敗してしまうからです。だから「絶対にホールに入れて成功するぞ」と言い聞かせるそうです。アスリートはそうやってメンタルトレーニングをしています。
子どもに注意したくなったとき一旦“肯定形”に変換してから声に出した方が脳にはわかりやすいですし、ママも子どもも嫌な気分にはなりませんよ。
※この記事を書いた立石美津子さんの著書
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