子どもが自分から早起きして、朝食をしっかり食べ、自分で身支度をしてくれたら、どんなにラクでしょう。でもなかなかそうはいかないのは、次のような要因があるからです。
そもそも心も体も未発達な子どもは、いくらせき立てられても大人と同じようにはできません。早くできないことを叱られ、指示される、の繰り返しでは、子どもは朝だけでエネルギーを使い果たしてしまい、日中元気に活動することができなくなってしまいます。
逆にあなたがすべてやってしまっても、子どもはいつまでも自立できずに、あなたのイライラは募るばかりでしょう。
では、親子で気持ちの良い1日をスタートさせるには、どうしたらいいのでしょうか。
そのポイントは、「起床から登校(登園)までの段取りをきちんと決めて、子どもが自分でできることを少しずつ増やしていく」ことです。 朝は、起床、着替え、洗顔、食事など、生きていく基本となる生活習慣が集約されている時間。
つまり、朝の準備をスムーズにこなせるようになれば、親子の朝時間にゆとりができるとともに、子ども自身が自立に大きく近づけるのです。
幼児期は子どもの「朝力=自分で考え行動する力」を育てるチャンスとも言えるでしょう。子どもにとって将来必要な力を伸ばすためにも、朝の時間の使い方をこの機会に見直してみてください。
・大人のペースについていけない
自分と大人のペースが違うので、大人の忙しそうな様子に圧倒されてしまってぼんやりしてしまいます。かまってもらえないために親の注意をひきたがる子もいます。
・朝の準備がおもしろくない
洗顔や着替えなど、朝の支度は子どもにとってはおもしろくないものです。また自分でスムーズにできないもどかしさもあり、グズグズになりがちです。
・脳と体がスッキリと起きていない
夜更かしして睡眠不足だと、脳も体もしっかり休められていないので、朝から元気に動けません。早寝早起きのリズムができていない子に多い原因です。
・保育所や幼稚園に行きたくない
子どもにとっては、家が一番居心地の良い場所なので、朝はなんとなく保育所や幼稚園に行きたくないもの。家族と離れたくないという気持ちもあるでしょう。
・動きやすい「環境」を整える
着替え、洗顔、食事、外出準備など、子どもが自分でしやすいように、ある程度準備しておきましょう。準備と言っても単に物を揃えておくだけではなく、「自分でできた」と実感できるような環境の整え方をすることが大事です。また、「これをやったら次はこれをやればいい」と、子どもが先を見通せる工夫も必要です。
・楽しくなる、やる気が出る「声かけ」をする
「早くして」を何度繰り返しても効果がないのは、子どもに伝わっていない証拠。伝え方を変えなくてはいけません。「競争しよう!」など遊び感覚で楽しくできる言葉がけをしたり、「○○ができてすごいね」と行動を具体的に褒めると、子どものやる気はぐんとアップします。逆に子どもがなかなか動かないときは「○○しようね」とすべきことを具体的に伝えましょう。
・できないところを上手に「サポート」する
子どもがスムーズに食事や着替えができないと、つい手を出してしまいがちですが、そこはぐっと我慢して、なるべく子どもに任せましょう。子どもの様子をよく観察して、子どもがどうしてもできないところだけをあなたが手伝い、徐々に手助けする部分を減らしていきます。手を出す部分と引く部分のメリハリをつけることが大切です。