私がインストラクターとして取得したのは、ABM=アタッチメントベビーマッサージというものです。
アタッチメントについて、少し説明したいと思います。
アタッチメントベビーマッサージとは、大人のようなマッサージ効果を期待するものではなく、心を育てる目的で行うマッサージのことです。
では、アタッチメントとはどんな意味かと言うと、これは発達心理学で使われる言葉で、日本語では「愛着」とか「愛着関係」と訳されます。英語のattachは、「くっつく」「密着する」という意味。生まれたばかりの赤ちゃんは、危険を感じたり、不安に思ったときに、ママやパパにしがみついて危険を回避しようとします。赤ちゃんは本能的にアタッチメントを求める行動をするのです。
愛着は人間に本来備わっている基本的な要素とされています。親が子を思い、子が親を求めることは、当然といえば当然です。
しかし、ただ単にお腹が空いたときにおっぱいを欲しがるというよう本能的な行動だけでなく親と子の相互の心が結びつき信頼関係が育まれること、これが愛着=アタッチメントです。
乳幼児期のアタッチメントは言葉を越えた心のやり取りです。そして、この時期にお母さんとの間に育まれたアタッチメントは知的好奇心や探求心、問題解決力や論議構築力といった学習基盤と、安定した情緒、共感力、対人関係力といった人格基盤の形成の両方に大きく影響します。
赤ちゃんとママの肌と肌がふれあうマッサージはどんな方法で行ってもとにかく気持ちが良いものです。
そして、その心地よさが心の結び付きを生み、アタッチメントが形成されていきます。これは、頭で考えて築かれるものではなく、「心と心が近づく」感覚と言えるかもしれません。
ベビーマッサージでしっかりと赤ちゃんに向かい合ったママは、「この子が生まれてくれて本当に幸せ…ありがとう」という感想を持つようです。また、それは、ママだけではなく、パパもおじいちゃんもおばあちゃんも同じように感じるといいます。
これこそが、ABMの魔法のような効果といえるでしょう。ありのままの自分が無条件で受け入れられ、愛されたという経験は、「自分は、存在するだけで価値があるのだ」という「無自覚の自信」となります。
その自信は将来の対人関係の土台となり、学習能力の基盤となるのです。 誰もが、誕生した赤ちゃんに、のびのびと思いやりのある、幸せな子供に育ってほしいと願うはずです。
その子らしい豊かな能力や資質を開花させてあげたい、まっすぐにすくすくと情緒の安定した子供に育てたいと思う親の願いに対する答えは、アタッチメントの中にあるのです。ABMは、親なら誰もが子供に抱く「願い」を叶えるカギなのです。
アタッチメントは生後すぐから一歳までに急速に形成され、その後一生をかけて育てられていくものです。
乳幼児期にしっかりとアタッチメントが形成された子供は、
●自分を大切な存在、価値のある存在であると信じることができる
●社会性が育ち、対人関係をうまく築くことができる
●想像力や感受性、学習能力を養う基盤が作られる…などなど
幸せな子供に育つ基盤を獲得することができます。 まずは、マッサージをする上でこの事を頭に入れてマッサージをしていただけると、より楽しく出来ると思います。