実はさきほど言った言葉は、「(あなたは)いつまで遊んでるの!(あなた)早くしなさい!」「(あなたが)約束を守れないんなら、もう来ないからね!」と、主語が《あなた》になっています。
相手の行動がいやなとき、相手の行動を変えようと、つい「あなたは…」と相手のことについて言いがちですが、言われた子どもは、何か自分が責められている感じがして、いい気がしません。
また親がどういう理由で、どんな気持ちで言っているのか、わかりません。
わからないまま、あなたは…と言われ続けるので、子どもは行動を変えなかったり、反発したりすることが多いのです。
では、子どもが行動を変えるようにするにはどうしたらいいのでしょうか?
それは主語を《わたし》にして、「親がいやだと思っている子どもの行動」「子どもの行動から受ける親の影響」「親の感情」の3つの要素を盛り込んで伝えることです。
先ほどの例で言うと、
「あなたが5時を過ぎて遊んでいると」(親がいやだと思っている子どもの行動をわかりやすく)
「ご飯の支度が遅くなって、お父さんが帰るまでにご飯ができなくて」(子どもの行動から受ける親の影響を具体的に)
「困るのよ。」(影響に対する親の感情を率直に)
そんな言葉を聞いて子どもは初めて、自分の行動で親にこんな影響があり、親を困らせているんだ…ということに気づくことができます。
ここで大事なのは「だから○○してね」と言わないこと。
○○してね、と言わずに任せることで、すぐに遊びをやめて帰ることもあれば、「あと3分!そのかわり急ぎ足で帰るね!」と言ったり、もしかしたら「ご飯の支度を手伝うよ!」という申し出があったりなど、子どもが親のことを思って考えた様々な解決策が出てくる可能性が生まれます。
これは子どもの自主性や創造力を伸ばす機会にもなります。