この時期になると、学校の先輩などが「センター試験が近くなってきた」と焦っているのを目にする高校1・2年生は多いのではないでしょうか?
その一方で、「センター試験とは何か?」というものがいまいちピンときてないという人もまた多いことでしょう。
今回は、センター試験の意味について、そしてセンター試験周辺の流れについて説明し、来る1・2年後の入試の時に焦ってしまうということがないようにアドバイスをしていきます。
センター試験は一般的には「国公立大学の一次選抜試験」と考えてもらえれば大丈夫です。
国公立大学は定員が決まっていて、ほぼその通りの人数だけしか合格者を出さないため、大量に受験者が殺到した場合、選抜するのがなかなか大変です。
そこで国公立大学は全て二段階選抜という方式をとっています。これはセンター試験のようなマーク形式のテストで、その人の基礎学力を見て、その大学のボーダーラインに鑑みて悪くない結果の人だけが、次の試験に進む、といったものです。
しかし、このセンター試験、ほとんどの国公立大学において厄介なのが「科目数が非常に多い」という点です。
基本的には「5教科8科目」という形式が普通です。
文系だと、英語(筆記の200点とリスニングの50点を足して、0.8を掛けた200点満点)、
国語(200点)、
社会(地歴から1科目100点満点と、公民から1科目100点満点)、
数学(①②でそれぞれ100点、計200点満点)、
理科(文系はほとんど基礎科目と呼ばれるもので、50点ずつ2科目で100点満点)、
合計900点満点になります。
理系の場合は、社会が1科目100点、理科が発展科目2科目200点となります。そして、大学によって、どの程度センター試験を重視するかが異なります。
例えばA大学はセンター試験900点分を400点に圧縮し、二次試験を800点分出題し、あるB大学はセンター試験を900点、二次試験を300点というように設定したりします。
前者のような比率は上位レベルの国公立大学に多いパターンです。
上位大学はセンター試験のレベルは余裕で超えていなければならないので、そこまで重視はせず、逆に記述や論述形式の多い二次試験で受験生の応用力を見ます。
逆に後者のような比率は地方国公立大学に多いパターンです。これらの大学は二次試験レベルの応用問題はそこまで重視しておらず、センター試験レベルの問題をある程度こなせるかどうかを見るので、センター試験の比率が高めになっているのです。
また、特殊な大学もあります。東京工業大学は非常にレベルの高い大学なのですが、センター試験はあくまで通過点としてしか見ず、900点中600点を超えていればそれでOK、二次試験との合算はしない、というのです。
このように、大学によってさまざまな配点を提示してくるので、自分の志望に応じて戦略を立てることが必要になりますね。
センター試験は一般的には国公立大学向けの試験であった、というのは昔のことです。今では、かなり多くの数の私立大学がセンター試験を入試に活用しています。
その理由の1つは「受験生を多く集められる」という点です。例えば、いくら人気のある首都圏の大学であっても、首都圏以外の地域に住む受験生にとっては首都圏まで受験に行くだけでかなりの出費になってしまいます。
しかし、センター試験を利用して合否が出る入試なのであれば、遠くにいながら首都圏の大学に出願できるので、日本全国から出願してくるのです。
また、センター利用入試は受験料が20000円前後(一般試験は30000円前後)であるため、気楽に出願できるというのもメリットと言えますね。
大学側からしても、受験生は集められるし、受験料も集められる、受験生側からすれば、気軽にいくつでも、安い出願料で出願できるので、両者にとってメリットが大きいんですね。
しかし、デメリットもあります。それはセンター利用入試の場合、多くは入学手続き締め切りが比較的早い時期にあるという点です。
手続き締め切りについてはしっかり日程を見ておかないと何重にも支払わなければならず、かなりの出費になってしまうこともありますが、しっかりスケジューリングしておけば最低限で済むので、そういう所も見ておきましょう。
さて、では大まかな入試のスケジュールはどういったものなのでしょうか?
まずは「出願」のステップから見ていきましょう。
国公立大学はセンター試験を受けた後にどの大学に出願するかを決めることが出来るのに対して、私立大学の場合は、センター試験の結果を見てからでは、「多くの受験生を集められない」という事態につながってしまいますから、基本的にはセンター試験前日までの出願となっているようです。
ただ、一部の大学ではセンター試験を終えた後に出願することもできますが、これについては「比較的レベルの高い大学の場合は倍率が高くなる」もしくは「レベルとしては低めの大学しか残っていない」という懸念材料があります。
センター利用入試はただでさえ、ボーダーラインがかなり高くなっています。
例えばいわゆる日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学(日東駒専)のレベルであっても、ちょっとした国公立大学に出願できるだけの得点を取らなければ合格を勝ち取ることはできません。
そんな状況ですから、センター試験後に出願できるのであれば、なおさら自信のある人だけが出願してくるのは予想されることですね。
そして、国公立大学の場合は、センター試験を受け終えた後に「センターリサーチ」というものを学校で提出します。
これは大手予備校が実施しているシステムで、センター試験の自己採点の結果(インターネットや新聞に解答が掲載されているので自分で点数が分かります)を記入して提出すれば(学校で提出することが多いです)、3~4日後に「○○大学に出願した場合A判定」「△△大学の場合はD判定」というように、「各予備校が算出したボーダーラインからどれだけ離れているか、どれだけ上を行っているか」を判定してくれるものなのです。
これをもとに受験生は出願する大学を決めるのです。ただ、上述したようにセンター試験と二次試験の比率は大学によって異なるため、各自の得意不得意に応じた戦略が必要となります。
D判定だったとしても、二次試験比率の高い大学で、二次試験に自信を持っているのであれば、出願はしやすいでしょうし、B判定だったとしても、二次比率が極端に低い場合は、A判定の人ばかりが合格してしまい、B判定でも落ちることも想定されます。
ですから、配点比率についての情報収集は今のうちからしておきましょう。
では、1・2年後のセンター試験に向けて、結果につなげられるようにするためには、今何をしておけばよいのでしょうか。
それは間違いなく「基礎固め」です。センター試験は至って平均レベルの問題しか出題されません。
単語の発音・アクセントだったり、単語の意味、教科書レベルの数学問題、漢字の読み書きなど、1・2年生のうちに求められる力で十分に解くことができます。
ですから、「3年になったら受験勉強」、という意識は早々に捨て去り、「今やっていることが受験勉強」という意識を常に持ちながら勉強を進めてください。それが継続できてくれば、必ずセンター試験で高得点が取れるはずです。