教育[725]

昨年の「いじめ件数」18万8057件 見て見ぬふりはやめよう

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執筆者:中田 雅敏

「いじめ」に対する教育委員会、及び学校において「いじめと認められる案件」については直ちに報告、調査する義務がある、と前回の記事【いじめ及びいじめによる自殺報告義務】で書きました。これは「学校内、及び学校管理下」における発生と発見についてのことです。

平成27年10月28日の新聞、及びテレビニュースにおいて、昨年度の「いじめ件数」について、文部科学省が全国に再調査を指示し、その「いじめ認知件数」について発表した。

埼玉県の中学校では184件増の1438件、小学校においては315件増の1389件、高校も24件増の155件となり全国の小中高を合計すると18万8057件で、2012年度から一挙に増加し、この3年間は毎年20万件近い数値になっている。

「いじめ防止対策推進法」が実施されても一向に「いじめはなくならない」。これは学校の管理下で認知した数である。学校外、地域などでの発生件数は含まれていない。もし、学校管理下外での「いじめ」の数を加えたら途方もない数になるであろう。

防止対策は学校だけの問題ではない。全国の学校で臨床心理士を招いたり、スクールカウンセラーを配置し、有識者で作る調査専門委員会を設置しているが、増加したという事は有効に働いていないという事を物語っている。

10月27日の文科省の発表に対し、教育大学の教授が「再調査で認知件数が増えたのは、教育や学校が見過ごしていたいじめを把握できたという事で評価したい」とコメントしているが、こうしたコメントが問題の本質を誤らせることになる。減少につながっていればコメントも的を射たことになるが、組織として設置した様々な機能が有効に働かなかったということでもある。

もはや「いじめ」は学校だけの問題で片づけられなくなっている。学校教育、家庭教育、社会教育の三分野を融合して「対策を考えねば解消や減少は難しい」ことでもある。

学校でも家庭でも「何がいじめなのか」「どのような行為がいじめなのか」「いじめがあった場合どう対応するか」、「地域や保護者」などに「いじめの本質」「いじめへの対応」「いじめを許さない」などの「学習と講習」を折に触れて町内会や自治会などで開催すべきであろう。

学校の問題だけにとどめず社会全体で受け止めなければならないことである。

「いじめを目撃した場合の対応方法」はある。対応については次回に記すが、ここではまず緊急の問題として「地域社会で学習」しなければならない。地域の方々がいじめの場面に遭遇して「どのように対応するか」を学習せねばならない。

なぜなら多くの場合、いじめられている子ども、いや大人もいるのに誰も助けようとしないという傍観者となってしまうからである。警察や学校に知らせるという方法もあるが、大方の学校では「聴くことはする」が、それ以上踏み込もうとしない。学校として受け止めようとしない、学校自体が見て見ぬふりをしてしまう例が多いからである。

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