TOEICを受験したことのある人の多くが感じるのが「ある程度までスコアが上がると、そこから伸び悩む時期が来る」というものです。
その限界は人によって異なりますが、概ね600~700あたりまで到達してくるとその傾向が強くなるようですね。
この辺りになってくると、会社によっては「昇進条件」になってきたり、大学院進学にとっては「英語免除の条件」になったりしてくるので、そういう「上を目指したい人」にとっては、なんとしてもアップさせたいという気持ちでいることでしょう。
では、このような上級者がさらなるスコアアップを達成するためには、どのような勉強を進めていけばよいのでしょうか?
上級者のリスニングの1つの目安は350~400と言えるでしょう。
まず、絶対に落とせないのがPart1の写真描写問題です。ここは10問しかないので、全体に占める割合は比較的低いですが、きっちり取っておくことが求められる問題です。
このパートについては、初中級者<関連記事【TOEIC勉強法】初中級者向けに英語塾講師が解説>と同じように、写真を見てからある程度のワードを頭に浮かべられるようにしておきましょう。
上級者ともなれば、ボキャブラリーも豊富になってくるので浮かべられる単語の幅も広くなるはずです。その語彙力を存分に生かせるようなトレーニングをしてみてください。
次にPart2ですが、応答文問題ですね。こちらはある程度、出題されるタイプの形式を頭に入れておくのが良いでしょう。「人・場所・時・理由・方法」など基本的なものは初中級者でもおさえてあるかと思いますが、付加疑問文や平叙文などでも、ある程度の出題のされ方が限定されてきます。
どういった文章がよく出題されるのかを、最新の問題集などで見て、頭にインプットしてしまってください。
そして次にPart3・4です。ここが初級者と中級者・上級者で大きく差がつくセクションですね。
初心者の人にはPart3・4で大きく得点を伸ばすというのは非常に難しいところですが、もっと上を目指したいのであればここは取らないわけにはいきません。
基本的にはやり方は1つです。
それは「問題文・選択肢の先読み」です。これは初級者の時から実践していた人も多いかと思いますが、TOEICの英語に読み慣れてきた人は、さらにスピードを上げて要領よく読むことができる力を身に付けているのではないでしょうか?
スピードが上がれば、問題文だけでなく選択肢までしっかり読めるようになるので、その分正解に至る確率も高めることがしやすくなります。
具体的なやり方としては以下の通りです。
まず、各Partの説明文が流れている時に、3~5問分くらいは問題文と選択肢に目を通しておく。
その際はじっくり読んでいては時間がないので、なるべくスピードを上げて、どんなことが聞かれていて、どんな選択肢があるのか、程度にざっとスキャニングをするのにとどめておく。
そして、問題の英文が流れ始めたら、その聞いた内容の箇所のみを拾って解答の目途を付けておく。
基本的にTOEICのPart3・4は、1つのパッセージに対して問題が3つ付いており、その3つは英文の流れてくる順に応じています。
ですから、例えば、
41番:この会話はどこで行われているか
42番:男性は女性に何を求めているか
43番:女性は男性に何を提案しているか
という問題が出題されたとしたら、会話もその順に話題が切り替わってくるのです。ですから、最初の方に「会話の場面」、真ん中あたりに「男性からの要望」、最後の辺りに「女性からの提案」が来るというものになるはずです。
それを1つ1つつぶしていけば、確実に正解に導くことができます。もし途中1つでもわからないものがあっても、「残りの2つをしっかり取ろう」という気持ちで進めてください。全問正解というのは実際にはなかなか厳しいものですからね。
リスニングは流れている英文自体はさほど難しいものはありません。あくまで日常会話レベルの内容が流れているのですから、「単語が分からない」などという理由で解けないことはほとんどありません(かなりの初級者でもない限り、ですが)。
あとは「いかにして解くか」という方法論だけですから、そこを工夫することで少しずつスコアを上げることが可能になってくるでしょう。
とはいえ、テクニックだけで高得点というわけにもいきません。もちろん努力も必要になりますので、日々英文を耳から入れておくというトレーニングもしっかり欠かさないようにしてください。
一般に、TOEICではリスニングよりリーディングセクションが取れないと言われています。
それは、単語や文法が細かく問われるリーディングセクションは、英語に慣れていない人からしたら、かなり難しく感じるからです。
リスニングは「なんとなく」でもある程度は聞こえてくるので、解けてしまうのかもしれませんね。 さて、TOEICを受けたことのある人は、Part5・6をどのくらいの速度で解くイメージをもっているでしょうか?
私が考える最適な時間は20分ですね。もちろん5・6を合わせて、ですよ。
TOEICの文法・語法問題は、もちろん難解なものも含まれてはいますが、基本的には英文の意味・品詞・文法のトレーニングさえできていれば、1問あたり10~15秒で解ける問題ばかりで構成されています。
ということは、Part5は全部で40問ありますから、1問15秒だとしても10分で解ける計算になりますね。
では、具体的にはどのような点に注目していけば良いのでしょうか?
中上級者の場合、品詞問題は比較的よくできる傾向にあります。「前置詞の後ろは名詞か動名詞」「助動詞の後ろは動詞の原形」などですね。しかし、英文法問題となると「高校生の時以来、文法なんてじっくり見直してないよ」という人が非常に多いため、穴がある人が非常に多くいます。
ですから、手っ取り速くできる対策としては、高校1年生で学習する英文法を一通り見直して、もう一度定着させておくことでしょう。
市販の問題集や公式問題集を見ても、大体は「大学入試でよく見かけるレベルの英文法」ですから、そういう基本的なレベルの見直しで十分でしょう。
そしてPart6ですが、こちらは1つの文章に空欄が3つ、それが4つあるので全部で12個の空欄があることになります。これは1文あたり2分半程度で解いてほしいですね。そうすれば4文で10分という目標を達成することができます。
このPart6も一見、読解問題に見えますが、やっていることは実際には文法・語法問題と変わりありません。
ただ、文章の流れをしっかり見ておかねばならないので、いくら選択肢の単語を知っていたとしても、「文脈に合った単語」を選ばなければならないので、スピードを上げて読んでいく必要があります。とはいっても、内容は手紙だったりメールだったりするので、難易度はさほど高いものではありません。
とにかく語彙力を増強して、それを生かせるだけの練習をして、速度を少しずつ上げていきましょう。
さて、最後の難関は受験者が一番嫌うPart7ですね。
こちらは、「とにかく読解問題という読解問題を大量に解いて、1つ1つの問題で間違ったポイントをしっかり見直す」という作業の繰り返しに尽きると思います。
とはいえ、このパートで出題される内容もそんなにバリエーションがあるわけではありません。「メール」「新聞広告」「レシピサイト」「雑誌の一節」というように、日常生活において身の回りにあふれているものが題材となっていますから、読んでいて難解に感じるものはそうありません。
ただ、ぜひ守ってほしいルールがあります。
それは「1つの設問につき1分」という原則です。
たとえば、あるメール文を読んでそれに付随した問題に答える問題が、4問ついていたとしましょう。その場合、その大問にかけられる時間は4分しかないと思ってください。
かなり厳しい基準に思えるかもしれませんが、それでも全部で48問あるので、48分かかることになってしまいます。5・6と合わせても68分なので、残るは7分しかありません。
ですので、このパートで意識してほしいことはとにかく時間配分です。
初級者を抜けた頃から、このパートにも本腰を入れられるかと思いますので、ぜひここで伸ばしてください。
リーディングセクションは、とにかく知識のインプットと、それをアウトプットする練習をどれだけしているかで出来が大きく変わってきます。計画的にトレーニングをしていくことをオススメします。