今の時代は、どんどん英語力が必要になってきていますね。楽天などでは社内の公用語が英語になってきており、自分の入る会社(今いる会社)が、いつ英語力を要求してくるか誰にも予想できない時代となりました。
高校までは英語には多く触れていた人がほとんどかと思いますが、大学に入ると自主的な学習が求められるため、英語に本腰を入れないまま時がすぎて、大学を卒業する頃には大学入試の時の英語力は遠い昔の話に、という人も多くいることでしょう。
では、そんな「英語力をもう一度取り戻したい」といういわば「英語初級・中級者」は具体的にはTOEICに向けてどのような勉強をしていけばよいのでしょうか?
今回は、主にリスニング・文法・読解の3区分に分けて説明をしていきたいと思います。
まずはTOEICがそもそもどんな試験なのかが分からない人のために、基本中の基本としてのTOEICの説明から始めていきましょう。
TOEICには大きく分けて2つのセクションがあります。
最初の45分でリスニングテストを100問、全てマークシート形式で行います。その後に、リーディングセクションを75分やりますが、こちらもリスニング同様、100問のマークシートをやり抜きます。
この2つのセクションには休憩はなく、リスニングが終わったと思ったら、そのままリーディングに突入します。そういう意味ではかなり濃度の高い試験といえるでしょう。
120分で100問×2セットの問題を解くことになるので、ほとんどの人が最初に言うのが「時間が足りなかった」という点です。
ただ、英検などとは違って、「合格・不合格」もなければ「二次試験」もないので、「受けたのに落ちた」となることもありません。代わりに「スコア」と呼ばれるものが算出されます。
リスニング・リーディングで、各495ずつ、計990を最高点(ちなみに最低点は10)として自分のスコアが出るため、「次はもっと高いスコアを目指そう」という気持ちになれますね。
ちなみに、よく出る質問に、「満点が990で、200問ということは、1問何点?」というものがありますが、TOEICは特別な算出方式で計算されているため、「配点方式」でスコアを出すことはありません。
統計的にスコアを算出する独自の方法を取っており、受験者の「正確な英語力」を測ることが出来るように作成されています。
また、1回のテストでも、会場によって問題が異なります。これは「メジャーフォーム」「マイナーフォーム」と呼ばれるもので、どちらのフォームに当たるかは事前に知ることはできません。だからといって、どちらのフォームで受けたから有利・不利などということもありません。問題傾向を特定されないためのリスク分散(主催者側の)と考えられます。
実施回数についてなのですが、英検が年3回の実施なのに対して、TOEICは年10回程度実施しているので、気軽に受験をすることができます。
とはいえ、1回の受験が5725円(税込み)なので、1年で10回受けたら単純に57250円かかりますね。そう考えると、年2~3回で十分なのかもしれません。
そして、これが英検との大きな違いなのですが、TOEICは問題冊子への書き込み・メモ書きは一切禁止されています。注意事項にもありますが、そういった行為はカンニング行為と見なされてしまいます。ですので、リスニング問題を解く時も、読解問題を解く時も、下線を引いたり、軽いメモをすることもできません。
リスニングは日本人の英語教育の中で比較的弱い点と言えるポイントです。
どうしても日本人の英語教育は読み書きが中心になってしまいますから、コミュニケーション能力を測る分野では弱くなってしまいます。
TOEICのリスニング試験は全部で4つのパートから構成されています。
Part1は「写真を見て、それについて短い英文が4つ流れて、その中から写真に合った英文を1つだけ選ぶ」といういたってシンプルなものです。
しかも、短い文章で表さなければならないような写真ですので、そんなに込み入った写真ではありません。男性が何かを食べているシーンであったり、女性が道を掃除しているシーンであったりと、とても状況が分かりやすい写真が並んでいます。その問題が全部で10問あります。
では、この問題はどのように対策し、どのように本番に臨めば良いのでしょうか?
まず言えることは「写真から出てくる単語を予測しておく」ことです。上記の例でいうなら、男性が何か食べているシーンの写真なら「eat」という単語が出てくるでしょうし、掃除しているシーンなら「clean」や「sweep(掃く)」などの単語が予想されるでしょう。
ただ流れてきた英文で判断するのではなく、「こんな単語が出てくるのではないか?」という予想をしながら聞いてみてください。
対策としては問題集などでその練習をひたすら積むことです。また、このセクションはとても短くて、とてもシンプルな英文が流れるので、根本から力を磨くのであれば、「ディクテーション」つまり「聞こえてきた英文をそのまま書いてみる」という作業をしてみると良い練習になるでしょう。
最初のうちはなかなか慣れずに苦戦するかもしれませんが、やっていくうちに書ける単語の数が増えてくるはずです。
そして、ディクテーションと合わせてやってほしいのが(これは全てのリスニング対策に言えることですが)、音読です。短い英文でも長い英文でも、自分で声に出して読んでみることで、英語を「文字」としてではなく、「音」として捉えられるようになります。
リスニングは「音」についてのセクションですから、音から学べることが一番の近道となります。
そして次のPart2は、「1つの疑問文が聞こえてきて、それに対して最も適切な応答文を3つの中から選ぶ」という形式のものです。
これは全て問題冊子には書かれておらず、疑問文も応答文も全てリスニングとして流れてきます。この形式が30問あります。
多くの人は、ここで挫折を感じてしまう傾向にあります(なにぶん、問題文も選択肢も何も書いてなく、ただ聞こえてくるものを頼りに正解を判断しなければならないわけですからね)このセクションの対策もやはりディクテーションと音読が功を奏するものと思われます。
やはり英語が苦手な人は最初は短めの文をしっかり捉えられるように簡単な文から始めるのが良いですからね)このPart1,2をしっかりトレーニングできて、少しずつ「英語の音」に慣れてくると、ようやくPart3,4に太刀打ちできるようになってきます。
Part3は「2人の会話を聞いて、それについての設問3つにこたえる」というものです。
他のパートもそうですが、TOEICのリスニングは1回しか流してくれないため、「次で聞き直そう」という手が打てないのが難点です。その分、1回の会話で一気に3問も解かなければならないというのは、初中級者には相当堪える問題形式と言えるでしょう。
しかし、ここも手段がないわけではありません。このパートは問題文と選択肢が全て冊子に印刷されていますから、「問題文の先読み」が非常に有効になってきます。
これには速く読む力が必要となりますが、問題文だけであればなんとか読むことができるのではないでしょうか?
聞かれる内容もたいていは「この会話はどこで行われている?」「男性は女性に何をするよう指示したか?」のような非常にシンプルな質問内容ですから、それさえ読んでおけば「この内容の部分だけ聞けるようにしよう」という方法が使えます。
リスニングテストだからといって、全ての会話内容を網羅する必要はないのです。「聞くべき部分」だけしっかり聞ければ問題は確実に正解できるのです。ですから、ここのトレーニングは問題文の先読みテクニックを少しずつ練習していきましょう。
最後にPart4ですが、これは「1人の人がしゃべっている内容について3つの設問に答える」というものです。
Part3では2人の会話だったので、「どちらの話し手に耳を傾けるか」が焦点の的となりましたが、このパートは1人の人間が延々としゃべっているので、あまり英文にメリハリがありません。その分、問題文を先読みしておくことで「聞くべきところ」をしっかり見分ける必要があるでしょう。
ぼーっとしているとあっという間に英文が流れ終わってしまいますからね。
リーディングセクションは全部で3つのパートから構成されています。
主に文法と読解と考えておけばよいのではないでしょうか。
まずはPart5から始めましょう。
ここは純粋な「文法・語法問題」のセクションとなります。大学入試の問題に近いものもあれば、系統の異なる問題もあります。
例えば、TOEIC特有の問題に「品詞識別」の問題があります。これは「空欄の箇所に入る適切な品詞」が分かっていれば解けるというタイプの問題で、大学入試にはあまり出てくることはありません。
中学2年で習う「will + 動詞の原形」は誰でも思い出すのが容易だと思いますが、TOEICにも普通に出題されます。
例えば、「Mr. Johnson will ( ) ~」に対して、選択肢が「decide / decision / deciding / decisive」というように、「え?willの後は動詞の原形だから普通にdecideでいいのでは?」と逆に勘ぐってしまいたくなるような問題もあります。
また、単に単語の意味を全て知っていればそれだけで解ける問題も多く出題されますので、英語の初中級者の方はそういった比較的やりやすい問題から始めてみると良いのではないでしょうか?
また、単語問題で苦労しないためにも、「TOEIC用の英単語帳」などを1冊購入しておくことをオススメします。
単語問題は「知っていればできたのに」となるだけの問題であって「何でそうなるの?」という疑問が生じにくい問題ですので、少しでも多くためておきましょう。
その上で、もし余力があるようであれば、高校の1年生レベルで学習するような英文法をもう一度じっくり勉強してみてください。
英文法問題として出題される問題の大半は高校生で学習するようなレベルの文法問題ですので、少しでも取り戻しておくだけで大きく飛躍するはずです。
次にPart6ですが、こちらは「メールや手紙の文章に空欄が3つ空いていて、そこに当てはまる単語を選ぶ」という形式のものです。
これは単語問題的な要素もあれば、読解問題的な要素もあります。いわば融合問題とでも言うタイプの問題です。
速く・正確に文章を読み進めながら、その文脈に合った単語を入れなければならないので、やはり単語を正確に把握しておく力が必要になりますね。
最後にPart7になります。ここがTOEIC受験者を最も苦しめる厄介な問題です。最も厄介なポイントは「問題量の多さ」です。
一般的に大学入試における「センター試験」は80分でかなりの分量を解かされますが、TOEICはその比ではありません。
1つの長文問題(基本的にはメール・新聞・雑誌・ネットなど、身近なものがほとんどです)で3~5分しか時間をかけることができず、相当な速度で読み込まねばなりません。
では、そのためにはどのような対策を立てれば良いのでしょうか?
やはり基本的には「英単語」に尽きるでしょう。単語が分からなければ読み進めることもできず、時間だけが経つことになってしまいます。
単語が多く頭に入っているほど、読み進めるスピードを上げることが可能になります。初中級者にとっては特別なテクニックなどではなく、とにかく「基本」に徹することを勧めます。
その結果、時間が足りなくなったとしても、無理やり終わらせて、最後の方はほとんど読まずに解くことになるよりは良いのではないでしょうか?
TOEICは勉強をすればするほど、確実にスコアもアップするテストです。とはいえ、有効期限は2年間しかないので、いつTOEICが必要なのかを意識しながら、それに合わせてスコアアップを狙ってみると良いのではないでしょうか?