住宅設計の際に出される何気ない要望の中にも意外と防犯に関係のあることがあります。
雨戸や面格子、電子錠、センサーライトやブザーなどは一般的な防犯の手法としてありますが、これら以外にも少しの工夫で防犯につながることがあります。例えば、セットで配置されることの多い、「インターホン」「郵便受け」「表札」。これらは本当にひとまとまりに配置すべきものでしょうか。
「郵便受け」は家人と郵便局の配達人と新聞配達人が使うだけで、実は特定の人にしか使われません。特定の人しか使わないため、敷地内に招き入れることも防犯上の大きなデメリットにはならないのです。
また、外壁に郵便受けを設置すれば郵便物を室内から受け取れるため、寒い日や雨の日などに便利に使えます。このように、郵便受けは玄関の隣など外壁に直接設置しても防犯上は問題なく、使い勝手と両立させることができるのです。
一方、インターホンは不特定多数の人が使います。家人にとって知っている人もそうでない人も使います。そのような物は表札と一緒になるべく敷地の入り口に設けるべきではないでしょうか。玄関先まで不用意に不特定多数の人間を招き入れないということが防犯につながります。
このように日常的に使うものも設計時の工夫ひとつで家の防犯性を高めることができます。
そして、家の中への侵入に対する防犯ばかりが注目されがちですが、屋外に置いてあるものについても防犯は必要です。車や自転車、屋外物置など家の中に入れられないものについての防犯についても考えましょう。
これらは施錠することはもちろんのことですが、家の中からの目線が届くところに配置しましょう。
たとえ窓の中が暗くても「見られてるかもしれない」と想像させるだけでも防犯の役に立ちます。
このように「防犯」とは、セキュリティー会社に一任するものではなく、敷地全体について各部の用途を考え、適材適所の工夫が必要であるといえます。
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2024/10/06 更新