私は会社で新卒社員のマナー研修をすることがあります。見た目はきちんとしたお嬢様なのに敬語の使い方がてんで出来ていない人が結構います。例えばこんな感じです。
あなたはどこが間違っているかわかりますか?
①
×先生が申されました
↓
○先生がおっしゃいました
(理由)謙譲語を目上の相手の動作に使っているから×
②
×おっしゃっておりました
↓
○おっしゃいました
(理由)目上の人の動作に尊敬語(おっしゃる)と謙譲語(おる)をまぜているから×
③
×おっしゃられました
×お越しになられました
×いらっしゃられました
×何をお召し上がりになりましたか
↓
○おっしゃいました
○お越しになりました
○いらっしゃいました
○何を召し上がりましたか
(理由)二重敬語(一つの文章に2つ以上敬語を使っている)ので×
④
×お客様が来られています
↓
○お客様がいらっしゃいました
○お客様がお見えです
(理由)完全な誤りではないが「いらっしゃる・お見え」の言葉があるのに何でも「れる・らえる」で尊敬語にしてしまうのは幼い印象
⑤
×鈴木様がおっしゃったことは担当者にお伝えしておきます
↓
○鈴木様がおっしゃったことは担当者に申し伝えます
(理由)「担当者にお伝えする」は目上の鈴木様を担当者より下に見ていることになり失礼にあたる「申し伝える」という謙譲語が適切
敬語と言っても3種類あります。尊敬語・謙譲語・丁寧語です。これらをきちんと相手と自分との関係性により分けて使わなくてはなりませんので日本語は難しいです。
尊敬語→相手または相手に関係のある人や持ち物・状態・動作を敬って使う言葉
謙譲語→自分または自分に関係のある人や持ち物・状態・動作をへりくだって使う言葉
丁寧語→言葉自体を丁寧にいう、いわゆる“です・ます調”
“です・ます調”の丁寧語は案外、子ども達は周りの大人から耳にすることが多いせいか、「先生、鉛筆貸して~」と言っていた幼児が小学校2年生くらいになると「先生、鉛筆貸してください」と言えるようになってきます。でも「先生、鉛筆を貸してくださいますか」「先生、鉛筆を貸して頂けますか」と言えるようになる生徒は少ないです。
敬語は母国語の一つです。幼児や小学生が敬語を最初からきちんと使えなくても構いません。でも彼らが耳にする言葉は正しい敬語でなければなりません。
敬語を学ぶマックスの年齢は13歳、中学2年生くらいまでと私は思っています。これを過ぎると会社に入社して表面的には話せるようになっても日常会話の母国語としてはなかなか定着しません。
私自身はおそらく両親からは正しい敬語を聞いて育っていたのでしょう。幼い頃、自分では言葉としてアウトプットはしていませんしたがインプットされていました。中学2年からミッション系のかなり躾の厳しい学校に入学しました。しかも、修道院が併設された寄宿舎で生活していました。
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2024/12/03 更新