ご存知でしょうか?平成28年度から学校検診で「運動器健診」が導入されました。「運動器」とは骨、関節、筋肉などのことです。いま、子どもたちの運動機能に何が起こっているのでしょうか。
「ロコモティブ(運動器)症候群」とは、骨や関節、筋肉などの運動器の障害により運動能力が低下して、将来、要介護や寝たきりになるリスクが高い状態をさします。
子どもには無縁のようですが、いま「ロコモティブ(ロコモ)予備軍」の子どもが急増しているのです。
物を投げる動作ができない、和式のトイレでうまくしゃがめない…こんな基本的な動作ができない子どもたちが増えています。本来、子どもの体は柔軟ですが、大人のように体が硬かったり、身体バランスがとれない子どもが増えて、以前なら考えられないようなケガをするようになりました。
例えばぞうきんがけ、両手で体を支えられずに前のめりに転んで、前歯を折ってしまった子どもがいました。また、跳び箱で転倒した際に、両手首を骨折した子どももいます。
埼玉県では、学校検診に導入される運動器健診のモデル事業として平成19年度から7年間、幼稚園児や小学校5~6年性、中学性、延べ3526人の運動器の状態を調べました。
片足立ちなどの基本動作をしてもらって、体の柔軟性やバランス力をみたのです。その結果、運動器の機能不全を有する子ども、つまり「ロコモ予備軍」の子どもが平均して約4割近くもいたのです。
とんだり、跳ねたり、走ったり…体の柔軟性や瞬発力、バランス力は、子どもが楽しく外遊びをする中で培われていきます。
けれども、遊び場の減少や生活習慣の変化、またゲーム機の普及なども大きくかかわって、子どもたちの外遊びの時間が極端に減りました。 転んで擦り傷をつくらなくなったかわりに、転ぶといきなり骨折などの大ケガに結びついてしまうのです。
では、スポーツ好きの子どもなら心配ないのでしょうか。じつは運動のしすぎによる弊害も問題になっています。少年野球やサッカーなど、小さいころから決まったスポーツに専念する子どもが増えています。
一見好ましいことのようですが、肩や肘、膝など特定の運動器を酷使したり、不適切な練習方法などでも、野球肘、腰椎分離症などのスポーツ障害による故障を起こしてしまうのです。こうした運動器の故障も、将来ロコモティブ症候群につながります。
子どものころは、体全体を動かすことが大切です。また、筋肉や骨量を増やすには、栄養バランスのとれた食生活や睡眠も大事な要素です。
ロコモ予備軍の子どもが大人になると、ロコモティブ症候群だけでなく、メタボリックシンドローム、骨粗鬆症を招きます。そうならないためにも、いまから生活を見直して運動習慣を身につけさせたいですね。
ところで、ロコモティブ症候群の兆候は40代ごろから現れます。パパ、ママも人ごとではすまされません。 親が楽しみながら運動をしていれば、子どもも一緒に楽しみます。体操を親子でチャレンジして、毎日の習慣にしてください。
ママも一緒にロコモチェック 親子でロコモチェックをしてみましょう。できた動作にチェックを入れてください。チェックが入らない項目がひとつでもあれば、ロコモ予備軍の可能性があります。
□片足立ち
片足立ちで、5秒以上ふらつかずに立つことができる(左右行う)。
□しゃがみこみ
足のかかとを床につけたまま、しゃがみこみができる(途中で止まったり、後ろへ倒れたり、かかとが上がった場合はNG)
□肩の挙上
両腕をまっすぐ上に伸したとき、腕が耳の後ろまでくるか
□体前屈
ひざを伸ばしたまま、体を前に倒し、指が床につくか
□グーパー動作
手のひらを上にして、両腕を前に水平に伸ばしたら、「グ-」と言いながら手を握り、肘を後ろに引く。次に「パー」と言いながら、勢いよく両手を反らしながら前に突き出す。これらの一連の動作をスムーズに行えるか、パーの動作でほぼ直角(70度以上)に手首と指が反らせるか。
教育総合ランキング
2024/11/20 更新