小中学生は宿題の「自由研究」(科学研究と呼ぶところもあるでしょうか)に悪戦苦闘する季節です。
頑張って題材を決めても、「○○ちゃんとかぶった」とか、研究の計画を提出したけど「先生にボツをもらって、やりなおし」とか。毎年のことながら、親子そろって頭を悩ませるのはうんざりですよね。我が子は実験が失敗し、1シーズンに3つの研究をやったことがありました。これはさすがに親もくたびれてしまいました。
研究ですから「結果」がでなければいけないわけですので、始める前によく計画を立て、効率よく取り組みましょう。
最近では、学校で夏休み前の授業の中で、計画をたてる学校もあるようです。
宿題として持ち帰り、親と相談(実験用具の準備や実現できる範囲のものか、低学年では自分で判断ができない可能性が高いからということなのでしょう)といったこともありますね。
まずはしっかり計画を立てましょう。
①常々不思議だと思っていることを書き出す
飼っているペットのことや、育てている植物のこと。人間の気になる行動だってOKです。自然現象やいつも使っている家電のことも、あげればきりがないですね。
②書き出した中で一番興味があるものを選び出す
興味がなければ続きません。興味がある、好き、気になる…そんな風に思っているものを選びましょう。
③具体的に何を調べるかを考える
仮に、飼っている魚を研究することにした、としましょう。一番ありがちなのは、「観察日記」になってしまうパターンです。低学年ではそれもありでしょう。魚がどうした、こうした、こういう動きをした。大きくなった、死んでしまったなど…。観察日記も1か月続けられたらたいしたものです。
しかし、高学年~中学生は、そうはいきません。魚がどうした、こうした、の「理由」を明確にしたいものです。どういう時にどういう理由でこういうことをして、といったことを「調べること」が必要だと考えます。
例として
・魚の色が体表の色が変わることがあるので、その原因を突き止める。
・たまに飛び跳ねるが、どういう時にそのような行動をとるのか調べる。
・飼っている水槽の水がすぐ汚れてしまうのは何故か調べる。
などなど。あげればきりがありません。普段見ていて、通常ではない行動なんかを思い出すと、いいかもしれません。
④どういう風に調べるかを考える
「魚の体表の色が変わる」という例で考えてみましょう。まずは、仮説を立てます。
・水温が変わった時ではないのか?
・外から刺激を受けたときではないのか?
・威嚇するときではないのか?
など、自分で推測してみましょう。そして、その条件を作りだす方法を考えます。仮に、水温が変わった時であれば、水槽の水温を変えて実験します。そのためにはどうしたらいいでしょうか。 「水槽用のヒーター、クーラーを使う」という方法がありますね。
「それならば、道具を準備しよう。別の水槽と、ヒーターと、温度計と…。」このように、1つ1つ進めていくことによって、何をどう実験するかが明確になり、失敗しにくくなります。
なるべく夏休みの早い段階で着手しましょう。 なぜならば、「結果が出ない」ということが多々あるからです。結果がでなければ、1の③に戻り、考え直さなければならないのです。
例により、水槽の水温を変えて実験したとしましょう。結果、魚の色は変わりませんでした。そうしたら、それは魚の色を変える理由ではないのでまた別の仮説を立て、それを検証する実験を行わなければなりません。
それどころかすべての仮説が残念な結果になった場合、もっともっと考えたり、調べたりしなければならないのです。 こんなことが起きた場合は、夏休みの最後までほおっておくと、それこそ残念な研究となってしまいます。
実験中はたくさん写真を撮ってください。
説明しなくても、写真があればたいていのことは伝わりますし、まとめノートを作るときに大変役に立ちます。 記録は大切です。記録がいい加減だと、せっかく素晴らしい研究をしても、「ネットから探して写したのかな?」「本からそのまま?」などと疑われてしまいます。
一生懸命やったのに、それでは気分が悪いですよね。 大人に協力してもらい、カメラやスマホを用意してもらいましょう。
進め方はこんな感じでしょうか。 どんな研究でも調べたいことが明確でないと後々大変なので、1の項目はしっかりやりましょう。
せっかく素晴らしい研究をし、結果も出したのに、ノートに走り書きのメモ…ではとてももったいない気がします。記録がしっかりしていれば、提出された先生にも見てくれるお友達にも、わかりやすくていいですね。
終わりよければすべてよし!レポートはこんな感じにしてはいかがでしょうか。
○○の研究…タイトルは大き目に
1、研究の動機と目的…どうして研究しようと思ったのか、何がしたかったのか、しっかり書きます。
2、準備したもの…箇条書きで書き、写真なども添えます。
3、実験1 ○○を調べた
方法…実験方法や図を描きます。
結果…わかりやすく、表やグラフ、写真などで表します。
*実験の数だけ「実験2」「実験3」と続けていきます。
4、まとめ…3の結果だけをまとめて文字で箇条書きにします。
5、考察…まとめを受けて、自分で考えたことを書きます。
6、感想…この研究をやった感想を書きます。
ここまできたら、もう安心ですね。
最近は模造紙(大きな紙のことです。地域によって呼び名が変わるらしいです)にはまとめずに、ノートやPowerPointでもOKの学校があるようですね。なににまとめるかも確認しておきましょう。 我が子は昨年、模造紙で11枚の研究を提出しましたが、これに費やした時間は、実験にかかった時間よりも多かったかもしれません。
次に、研究の題目と調べることの例を挙げておきます。全く一緒は少々いただけませんが、参考までに。
「アサガオの観察」
・花の色を変えるには?
・つるは一日にどれくらい伸びるのか?など
「ひまわりの観察」
・種の数を数えてみる。
・成長観察日記をつける。
・日中の花の向きを観察する。など
「花を長持ちさせるには」
・色々な水溶液で試してみる。
・色々な温度で試してみる。など
「せみの研究」
・近隣に生息している種類。
・羽化の瞬間を記録してみる。など。
「ストローの長さと音階」
・ストローの長さと吹いてい出る音の関係は?
・ストローの太さと音の関係は?など
「紙のおり方と強さ調べ」
・紙のおり方で強さはどうかわるのか?
・紙の種類でどうかわるのか?など
「酸性雨の研究」
・酸性雨が自然に与える影響とは?
・酸性雨じゃなくするにはどうすればよいか?など。
夏休みは「休み」といえども「休みではない」子供たち。勿論、サポートする親も、休みではありません。学校で当たり前のように行われている授業や活動で、先生方がいかに奮闘しているかがわかりますね。
夏休みに入ったら、全ての予定を立てましょう。 この週は「自由研究」、この週は「習字、硬筆」、ドリルは毎日2ページなど、カレンダーなどに書き込んでみてください。やらなければならないことが目に見えることによって、漠然と考えるより、実現に近づく気がしますよ。
そしてやりきった時の達成感を味わってください。 皆さんの自由研究が成功することを、願っています。
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