[乳児・幼児]納得のいかない昔話 子どもに読み聞かせる意味は?

納得のいかない昔話 子どもに読み聞かせる意味は?

2016/02/19

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昔話には善は栄え、悪は滅びる“勧善懲悪”や良い行いをすれば報われ、悪さをしたら罰がくだる“因果応報”の教えを説くものが多くあります。

中には腑に落ちない話もありますが、子どもに読み聞かせると人間の複雑な心やリアルな社会を教えることができます。

今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子がそんな昔話をいくつかご紹介します。

■みんながよく知る2大昔話のあらすじ

(1)鶴の恩返し
青年が助けた鶴が美しい娘の姿になり、青年のもとに現れます。娘は機を織りその着物は高く売れ、貧しい青年は豊かになっていきました。しかし機を織る度に痩せ衰えていく娘を心配に思い、青年は娘からの「決して中を覗いてはなりません」の約束を破りふすまを開けてしまいます。

結果、鶴の姿を見られた娘は青年のもとから立ち去ります。青年は元の暮らしに戻ることになりました。

(2)浦島太郎
浦島太郎は、子ども達が亀をいじめているところに遭遇します。太郎が亀を助けると、亀はお礼として太郎を竜宮城に連れて行きます。竜宮城では乙姫が太郎を歓待します。しばらくして太郎が帰る意思を伝えると、乙姫は「決して開けてはならない」と玉手箱を渡します。

太郎が亀に連れられ浜に帰ると、太郎が知っている人は誰もいません。太郎が開けてはならないと言われた玉手箱を開けると、中から煙が発生し、煙を浴びた太郎は老人の姿になりました。浦島太郎が竜宮城で過ごした日々は数日だったが、地上では300年もの長い年月が経っていました。

■この結末から学ぶことは?

私が幼い頃、感じていた疑問は次です。

・どうして、浦島太郎は亀を助けるという善行をしたのにお爺さんになってしまったんだろう?」

・竜宮城の乙姫様が手渡した手土産が20個あって「この中のこの箱だけは開けてはなりませぬ」と1つだけ開けてはならない玉手箱があるのならまだわかるけれど、たった1つのお土産をわざわざ渡して「開けるな」と言うのはおかしい。

・開けることが出来ないプレゼントなんかお土産ではない。

お土産に固執していますが、なんだか大人ながら納得ができませんでした。

『浦島太郎』も『鶴の恩返し』も結末は悲劇です。 幼い頃、担任の先生に「なんで鶴は若者の元から去って行ったの?」「なぜ、お爺さんになってしまったの?」と質問をしたら、「約束を破ったからよ」とあっさり言われてしまいました。そんなに約束を破ることがいけないことなのでしょうか?

見たいものを我慢できないのが“人の心”、けれどもこの誘惑に負けてしまうことにより残念な結果が待っていることをここでは伝えています。

良いことをして、その恩を返してもらってもいいはずなのに、それがどんな理由であれたった一つの約束を守らなかったためにすべてを失ってしまう人間の愚かさを描いたお話なのかもしれません。  

■蛙の王子さま

メジャーではありませんが、グリム童話に“カエルの王子さま”というお話があります。

“ある日、王女がまりを池に落としてしまいました。そこへカエルがやってきて、「自分と友達になってくれるなら、池に落としたまりを拾ってきてあげよう」と言います。王女は正直、カエルとは友達になりたくないけれど、まりを取り戻したい一心で、その条件を飲みました。

カエルは約束通り、まりを王女に渡しましたが、王女はまりを取り返した途端、約束を破り、カエルを置き去りにして帰ってしまいます。

それでもカエルは自力で王女の城にたどり着きます。王女はしぶしぶ、カエルと一緒に夕食をとるものの、すぐに寝室に戻ってしまいます。すると、カエルは寝室にまであがり込みベットの中にまで入ってきたのです。

カエルの図々しさに腹を立てた王女は、カエルを壁に叩きつけます。すると、その衝撃でカエルが立派な王子に。カエルは魔法をかけられた王子だったのです。立派な王子を見た王女は、一目で王子が好きになり、二人は幸福な結婚をしたのでした“

なんだか身勝手なお姫様ですよね。この話は、一体どんな教訓をもって書かれたのかさっぱりわかりません。だから、同じグリム童話の『赤ずきん』や『狼と七匹の子ヤギ』ほど有名にならなかったのかもしれません。

でもこのお姫様の行動をとってしまうのが人間です。人の心を正直に表したお話ではないでしょうか。

■まとめ

正直者が幸せになる、悪事を働いたら痛い目にあうなど、主旨がはっきりしていたり、結末がハッピーエンドのものばかりでなく、伝承話には実に人間社会や人の心をうまく描写したものがあります。

こういったお話を子ども達に読み聞かせることは普段、触れることのない感情に触れられて良いことではないかと思います。みなさんはどう思いますか?

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