住宅[373]

ある不動産オーナーのお話【賃貸→購入→売却→購入】

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執筆者:門衛 住宅運営チーム

マンション購入に至るまで

私が初めての住宅を購入したきっかけは ひとり暮らしを始めようと思った時でした。

最初はごく普通のパターンで賃貸住宅をさがしていました。 ふとしたきっかけで立ち寄った本屋で立ち読みしたマネー雑誌の記事がすべての始まりでした。内容は住宅ローンを組めば家賃並みの支払いで住宅が購入できるというもの。

具体的には、

考え方として、長期的なスパーンで見て30年ローンを組んでマンションを購入した場合、ローンを払い終わると自分の持ち物になり、以後何も費用が発生しなくなります。(実際にはマンションの場合、管理費、修繕積立金、固定資産税が発生)

一方、賃貸マンションに住み30年間毎月家賃を払い続けても何も残りません。住宅は大きな資産であり、いざとなれば住宅を担保に銀行からお金を借りることもでき住宅という資産を所有していると社会的信用も大きくなります。

また結婚等でいらなくなった時に他人にかして家賃を稼ぐこともできます。 30年後に家賃なしで住宅を確保できるか、30年後も永遠に家賃を払い続けるか。 20、30代の選択の違いが将来こんな大きな違いになり、長い人生のスパーンで考えますと、老後年金生活になったときに、家賃を払うことは大きな負担になります。

上記のような具体的な内容でした。

その記事に出会って発想を大きく転換し、住宅購入にシフトチェンジし実際に購入に至りました。

あの記事に出会えなければ今の私はないといっても過言ではありません。 あの時賃貸住宅を選択し、そのまま家賃を払い続けていたら何ものこらなかっただろう。そう思うとぞっとした気持ちになります。 また、おそらく、住宅に興味を持ち、不動産の取引資格である宅建の資格取得にいたらなかったともおもいました。

シフトチェンジしてからは週刊住宅情報を毎週購入し、購入できる住宅を検索しました。

私の年収からどれくらいのローンが組めるかを目安として、立地等も考慮してターゲットを絞り、土、日を利用し現地に見学に行きました。

結果として、早く転居したい状況もあり、2週間で4件のマンションを見学し、奈良市内 に3LDKのマンションを購入しました。

住宅を購入することは 賃貸と違って色々な労力と時間(たとえば購入、住宅ローンの 借入に関する書類の作成等)がかかりますが、今後ビジネスマンとして行動していく上で基礎的な知識となりました。

労力と時間の具体的な内容ですが、マンションを購入した業者より必要書類の説明を受け、まず、売買契約書、住宅ローンの契約書に印鑑登録をした実印が必要なことがわかり、実印の作成に取り掛かりました。父親に相談したところ、一生ものであるので印鑑の専門店に行き、印相も鑑定してもらい、高価なものを購入したほうが良いというアドバイスを受け、専門店に行き、鑑定していただきオーダー品を発注し1週間後に完成しました。現在も大事にして使用し続けています。

完成した印鑑を持って市役所に行き、印鑑登録をして印鑑登録証明書を発行してもらいました。 社会経験が浅い当時の私にとっては上記のことは大変な労力でした。

後の人生の中では印鑑登録証明書はあらゆる場面で必要です。 印鑑登録証明書を市役所に行ってとる度に最初に印鑑をオーダーし、印鑑登録をしたことを今でも思いだします。実印を作成することは人生の中で大変大事なことです。

実印作成もひとつの例ですが、住宅を購入するための売買契約書を交わす行為が新鮮で、マンション販売業者の宅地建物取引主任者から細かく説明を受け、実印を押印したことをいまでも鮮明に記憶しております。 契約書を交わすことが初めてだったので、社会人として良い経験になりました。

住宅ローンを組んで住宅を購入すれば、ローンを払い終えた際に所有物になりますが、賃貸の家賃はいくら払っても自分の所有物になりません。 今賃貸で家を探していらっしゃる方はぜひ、発想をかえて、住宅ローンを利用して購入を 考えてみてはいかがでしょうか。

マンション購入後~急な転勤

マンションを購入したあとも、定期的に住宅情報を購入していました。

マンション購入前に毎週購入していたのが習慣になったのか、雑誌を買う感覚でしょうね。きっかけはひとり暮らしの必要性からマンションを購入したのですが、そのことに労力と時間をかけたことでいつのまにか住宅に興味を持ってしまいました。

特に住宅を購入したあとにかかる税金面で住宅情報誌は大変勉強なりました。 購入したあとにかかる税金に固定資産税があります。この税金は毎年支払う必要があります。

賃貸住宅と比べればデメリットでありますが、ただ住宅ローンを借りて購入すれば、住宅ローン減税という制度があり、この制度を利用することにより、ほぼ金額的には相殺できる可能性があります。

固定資産税は購入する住宅の地域、また住宅の種類、マンションなのか一戸建なのかによって違いがあり、また面積によっても違いがでます。 住宅ローン減税制度も条件があり、借りる金額により減税金額が決まるので、正確には条件がととのえば、相殺できる可能性があると理解してください。

住宅ローン減税は現行制度では10年間毎年、年末借入残高の1%が、条件が整えば還付されます。現行、過去最大の低金利時代、ほぼ1%前後で借入できますので、考え方として、借入金利しだいでは手元に残しておいて、限度額いっぱい借入をしたほうが得なケースが考えられます。

ただ住宅ローンの減税の適用条件に住宅の床面積が50㎡以上という要件があり、都市部でワンルームマンションを購入する場合は厳しい条件になります。
上記にお話ししましたように、今の時代は過去最大の低金利時代をむかえており、住宅を購入するにはかなり良い時代が到来してきています。平成初期のバブル崩壊以後、失われた20年と表現されているようにデフレの時代が長く続きましたが、まさに大きな転換点がきています。住宅ローンを利用して住宅を購入するチャンス到来です。

さて話を私の方にもどしますが、購入して1年過ぎて、大きな環境変化が到来しました。

会社から東京支店に転勤命令がでて転居しないといけない状況になりました。 購入したマンションをどうすればよいか考えないといけない状況におちいりました。 しかも時間もあまりない状況でおおいに悩みました。

ただここでも、住宅情報を購読し、いろいろな記事を読んでいたので、自宅を転勤の時は誰かに貸すという発想もすぐに生まれてきました。

まず会社の総務部に交渉し、毎月支払っているローンの金額、管理費、修繕積立金、 月割りした固定資産税の額をそれぞれ算出し、毎月の必要経費をだし、毎月の必要経費以上の家賃設定をし、会社に借り上げていただくことを提案しました。

提示した金額でOKをいただき、購入したマンションを会社に借りていただくことになりました。

売却することも考えましたが、

・せっかく購入したマンションであること
・2、3年で戻ってくるかもしれないということ
・資産として考えた場合、ちょうどバブルのはじまりの初期のころでもあり、首都圏のマンションが値上がりしていた時期であること

上記から、関西圏にも、バブルの波が押し寄せてくると判断し、売却せずに、賃貸にだしたほうが正解という判断にいたりました。 このことを、今振り返ってみても、大変重要なことに対して正しい判断をしたと思っています。

上記のことは、言い換えれば、他人がお金を出してくれて(家賃をいただくこと)、自分の資産(マンション)を守ってくれていることになるということに気が付きました。 まさに不動産賃貸経営のまねごとのはじまりでした。 一人暮らしをはじめないといけない状況になり、マンションを購入、会社の転勤命令により不動産賃貸経営のまねごとと、1年過ぎの時間で一挙に上記の状況になり、ますます不動産に興味を抱くようになりました。

転勤~2件目の検討~バブル崩壊

東京支店に転勤になり、住まいは、さいたま市の賃貸住宅に住みました。会社の借り上げ社宅で家賃は50%の補助の条件でした。

東京に住むようになっても首都圏の住宅情報は毎週購入していました。世の中はまさに平成バブルの絶頂期を迎えようとしていました。 私の予想どおり、首都圏の不動産価格高騰の波が関西圏にも不動産価格の高騰の波が押し寄せて来ました。

購入したマンションの市場価格がほぼ購入価格の2.5倍になってしまいました。ほぼ1年で資産価値が2.5倍になり、まさにバブルの気分を味あうことになりました。

転勤の時に売却しないで賃貸にだして、正解であったとつくづく実感しました。

一人暮らしをはじめるため購入したマンション、転勤のためそのマンションを賃貸にだし、自分の意思とは関係なくマンションオーナーになってしまい、また資産価値が2.5倍になり、不動産の凄さを肌で感じ、ますます不動産に興味をいだくようになりました。

早速2件目のマンションが欲しくなり、首都圏でどうすれば購入できるのかを考えはじめました。 住宅情報に掲載されているマンションも実際に見学に行きました。投資目的のマンション販売業者の説明会にも参加しました。

購入資金を融通するために最初に購入したマンションの住宅ローンを組んだメインバンクに交渉し、プラスアルファの担保設定をして融資を受けることにしました。 購入したときのローン金額がほぼ100%残っているにもかかわらず、資産価値が2.5倍になったためにプラスアルファの融資をOKしてくれました。

バブル絶頂期の都市銀行でしたので自分が思っていた以上に簡単に融資OKが出ました。

購入するための資金面の条件は整ったのですが、購入する物件の価格がバブルの絶頂期であったため高く、投資効率を考えるとなかなか購入に踏み切れませんでした。

そうこうしている間に日経平均株価が下がりだしそろそろバブル崩壊の兆候が現れだし、住宅価格が下がりはじめましたので2件目購入の計画は保留することにしました。

また結婚することになり、将来のために家族で住める広い住宅が必要になりました。そのため大きく方向転換し、最初に購入したマンションを売却し、首都圏で自宅を購入することにしました。

最初に購入したマンションは購入したときの価格の1.5倍で売却できました。 バブル崩壊の前兆期であったので何とか上記の価格で売却できました。 その売却益を頭金にしてさいたま市内に3LDのマンションを購入しました。

上記のマンションも最初のマンションの売却後多少時間をあけたのでバブルの絶頂期の価格ではなかったです。 上記の選択は、今考えてみますと、ベストではなかったですがベターな選択をしたと思っています。

ベストな選択は結果論ですが、2.5倍になったときに売却し、しばらく賃貸に住み、バブルが完全に崩壊したあとに首都圏のマンションを購入したほうが、経済面でベストな選択で、ローンなしで購入できたかもしれません。

ただ最悪の選択、最初のマンションを所有しながら、バブルの絶頂期に2件目のマンションを購入するという選択をしなかったのが大正解でした。今考えるとすごく恐ろしいです。購入した2件のマンションの資産価値が購入価格の半分になり、最悪ローン返済ができずに自己破産していたかもしれません。

バブルの前兆期から絶頂期、また崩壊期と不動産を通じて経験したことは、社会人として、またビジネスマンとして大いに役にたちました。 本当にバブルに酔いすぎなくて(2件目のマンションを購入すること)良かったと思います。

教訓ですが、ブームになったとき、トレンドになったときは投資する時期ではなく、撤退する時期です。株の世界と同じで逆バリ投資の考え方が正解です。 みんなが注目し人気になったらそろそろ撤退の時期です。ビジネスの世界も同じです。 ブームになったものを2番煎じで追いかけても良い結果を得られません。 

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